健康アドバイス詳細

  1. HOME
  2. 健康アドバイス
  3. 健康アドバイス一覧
  4. 認知症の予防に効果絶大!高齢者による絵本の読み聞かせ

認知症の予防に効果絶大!高齢者による絵本の読み聞かせ

ラジオをお聞きの皆さんおはようございます。本日担当をさせていただくことになりました、南相馬市鹿島区にあります介護老人保健施設 厚寿苑で作業療法士として働いている齋藤と申します。このラジオを聞いてくださった皆様の新しい「発見」につながればと思います。よろしくお願いします。 まず、作業療法士という職業について、初めて聞かれた方もいるかと思いますので、簡単に説明させていただきます。作業療法士とは、主に病院や施設で働いており、病気や怪我などで体に何らかの障害を負われた方が、「やりたい」「やる必要がある」もしくは、ご家族が「やってもらいたい」と思われる活動が出来るように、患者さまやご家族と一緒に考え、リハビリテーションを行う専門職のことです。 早速ですが、本日のテーマは「認知症の予防に効果絶大!高齢者による絵本の読み聞かせ」です。作業療法士として働く私自身、普段の仕事の中で、ご高齢の方とお話しをさせていただく機会も多く、本日のテーマである「認知症の予防」についてご相談いただくこともよくあります。なぜ「認知症の予防に読み聞かせなの?」と思われた方も多くいるかと思いますが、東京都健康長寿医療センター研究所の研究により、高齢者が読み聞かせを行うことは、認知症の予防に役立つ可能性があることが報告されました。研究の内容としては、読み聞かせを6年間続けた高齢者は、しなかった人と比べると、脳の機能が活性化し記憶や空間学習能力をつかさどる脳の器官である海馬の萎縮を抑えることができ、認知機能の低下に一定の歯止めがかけられたそうです。また、別の調査では記憶力アップの効果があり、記憶したことを覚えている状態を継続しやすいこともあきらかになったようです。このような結果を受け、さまざまな高齢者を支える機関では、高齢者による読み聞かせ講座を開催しているところも増えており、参加した高齢者からの喜びややりがいの声も届いているようです。 読み聞かせを行う側のおじいちゃん・おばあちゃんの良い点として、高齢者が読み聞かせをすることは、世代を超えたコミュニケーションや知的活動、社会参加、適度や緊張感など、認知症の予防に役立つ要素がたくさんあります。何より、お孫さんやひ孫さんがいるご家庭では、本を読むことで一緒に楽しみながら「認知症の予防」ができることはとても良いことだと思います。認知症の予防には「継続する」ことが大切です。ご家庭にお子さんがいる方にとっては、「読み聞かせ活動」は生活に根付きやすく、体力的な負担も少ないため長く続けることが出来るかと思います。そして自分の認知症の予防のためではなく、お孫さんやひ孫さんたちと一緒の時間を過ごすことができるということでモチベーションが上がり続けることが出来るようです。 また、読み聞かせをしてもらう子どもにも良い効果はたくさんあります。小さい頃から絵本と触れ合うことで言語能力が刺激されたり、読書が好きになったりと、子供の成長に良い影響を与えるといわれています。スマートフォンやタブレットなど視覚に頼りすぎている現代社会において、子供たちの活字離れが問題視されています。近頃は、内斜視の子供が多くなったと言われているようです。内斜視とは片方の目が内側に向いてしまう病気のことで、子供はまた視力が弱いうえに安定していないため、スマートフォンなどを近距離で長時間見ることによって内斜視を発症する危険性があります。このような最近の子供の病気の傾向から考えると、子供に読み聞かせの動画を見せているご家庭もあるかもしれませんが、ご家族が直接読み聞かせをする機会を少し増やしてみると良いかもしれません。 働くパパやママは自分が子供の頃にしてもらったように、おじいちゃん・おばあちゃんにお子さんの絵本の読み聞かせをしてもらうのはいかがでしょうか。きっとお子さんとおじいちゃん・おばあちゃんの仲も深まります。また、普段なかなかお子さんと会う機会がない方々も、ぜひ「声に出して本を読む」ことから初めてみてください。「声を発すること」「活字を読むこと」でも、脳の機能を活性化させる効果があるとされています。 コロナ禍でおうち時間の過ごし方になれたところではありますが、感染拡大の状況によりもうしばらくおうち時間が続きそうです。認知症の予防のひとつとしてご自身の周りに小さなお子さんがいる場合は「絵本の読み聞かせ」を、いない場合でも「普段読まれている本の音読」を意識的に行ってみるのもいいかもしれません。 簡単ではありましたが、本日は「認知症の予防のために高齢者による絵本の読み聞かせ」について話しをさせていただきました。短い時間ではありましたが、ありがとうございました。