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メディカルサポートの活動内容と脳震盪、熱中症の対応

 皆様おはようございます。暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。私はJA福島厚生連 塙厚生病院で理学療法士をしています鈴木海飛と申します。普段の仕事では当院に骨折や脳血管疾患、肺炎、心疾患、がんなどの様々な疾患の患者さま入院や外来で来ているため、日々リハビリを担当させていただいています。本日はこの時間をお借りして私が病院外で活動している福島県高校野球県予選大会のメディカルサポートスタッフとしての活動内容について話していきたいと思います。  まず私がメディカルサポートの活動として何をやっているかと言いますと春・夏・秋の福島県高校野球県予選大会で医師1名と理学療法士数名で、選手の怪我や脳震盪の対応、投げ終わった投手のストレッチやクーリングダウン、またこの時期は選手や観客者の熱中症の対応を主に行っています。その中でも今回はスポーツ現場では非常に危険と言われている脳震盪と比較的皆様の身近にも起きやすい熱中症の対応について話していきたいと思います。  まず脳震盪についてです。脳震盪は高校野球では選手同士の衝突や転倒、デッドボールなどで生じることが多いです。脳震盪の症状としては頭痛、吐き気・嘔吐、意識障害、記憶障害、バランスの能力の低下などが生じます。死亡率は30~50%と高く生存しても脳の後遺症が残る可能性があるため脳震盪が起きているかどうかの評価や対応は非常に重要です。  メディカルサポートでの実際に球場で脳震盪が起きた可能性がある際の対応としましては、まず倒れた場所から無理に動かさず仰向けにして安静にし、意識レベル、呼吸、脈拍のチェックを行います。嘔吐が見られる場合は窒息する可能性があるため体を横向きにします。その後頭頚部をアイシングします。その後SCAT2という評価スケールを用いて脳震盪症状がないか評価し、一つでも症状がある場合は脳震盪を疑い選手は試合を退場し病院へ搬送します。アクシデント直後に症状がなくても脳震盪症状である意識障害は後に出現する場合やまた一度回復してから悪化する場合もあります。そのため意識障害が生じやすい24時間以内は厳重に観察して一人にさせないようにし、翌日から1週間は日常生活に支障がないか確認する必要があります。また短期間での複数回受傷は重症化に繋がりやすいため目安として2~3週間は頭頚部に負担がかかる行動はさける必要があります。なので皆様も転倒・転落なので頭を打った際は、決して自分自身で大丈夫だと決めず病院を受診することをお勧めします。  次に皆様もこの時期は特に起きやすい熱中症の対応を話していきます。メディカルサポートでもこの時期に1番多い対応が熱中症で選手だけでなく観客の方々も生じることが多いです。まず改めて熱中症がどういうものかと言いますと、熱中症とは高温多湿の環境下でいることで体内に熱がこもり熱や痙攣、意識障害などの軽いものから重いものまで様々な症状が生じます。場合によっては死にも至るため注意が必要です。  メディカルサポートでの実際に熱中症が生じてしまった際の対応としては、まず脳震盪と同様に意識があるか確認します。その後涼しい場所へ移動し、脱衣し頸部や脇の下、足の付け根などにある大きな血管を冷やします。水分が補給できるか確認し可能な場合は0.1~0.2%の食塩水またはスポーツドリンクを補給します。熱痙攣がある場合は0.9%の濃い食塩水を補給します。メディカルサポートではOS-1を使用しています。最初から意識障害がある場合や水分補給できない場合、補給しても症状が改善しない場合はすぐに救急車を要請し病院に搬送してもらいます。  熱中症にならないためにも日頃からの対策が大切です。熱中症対策についていくつか話していきます。まず暑さ対策として涼しい服装をして帽子や日傘の着用を心がけましょう。出かける前にテレビやネットでその日の天気・気温での服装予想などがみることができれば良いと思います。次にこまめな水分補給も大切です。喉が渇いていなくてもこまめな水分補給をしてください。1日に1.2Lを目安に水分補給ができると良いと思います。また汗をかくと塩分も失われるため1Lあたり1~2gの食塩を加えると良いと思います。注意点として一気に水を飲むことや、利尿作用のあるお茶やコーヒーなどを飲むと、多くの水分が尿として排出されてしまうため飲むものに注意し1時間に150~250mlを目安に水分補給ができると良いと思います。また内的要因として肥満傾向や睡眠不足は熱中症になるリスクを増やしてしまうため無理のない範囲で体づくりをしていきましょう。運動を何していいかわからない人は足の筋トレをすることをお勧めします。足の筋肉は他の筋肉と比べて大きいため鍛えると基礎代謝が上がりやすく痩せやすい体をつくることができます。今話してきたいくつかの対策方向で皆様もこの夏を乗り越えていきましょう。  以上簡単ではありましたが、「メディカルサポートの活動内容と脳震盪、熱中症の対応」について話をさせていただきました。これからますます暑くなりますので気をつけながらこれからもおいしいお米や野菜を作ってください。僕もたくさん食べて体づくりをしていきます。体調不良等の何かありましたらいつでも病院でお待ちしております。では今日も一日頑張っていきましょう。ご清聴ありがとうございました。