これお正月料理の食べすぎのせいだけではないかも | |
2011年1月 福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男 |
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皆さんはお正月を如何お過ごしでしたか。お正月はつい調子に乗って食べ過ぎ、呑み過ぎになりがちのようですね。そのためか、どうもいつもより胃の調子が悪いという方も多いのではないでしょうか。日頃から胃腸の調子が悪いと感じている人の中には、特に年末年始に強く感じていても、お正月の食べ過ぎ、呑み過ぎのせいだと軽く考えている方も多いようです。 しかし、もしかしたらこれから述べる病気が潜んでいるかも知れません。次のような症状を日頃感じていますか。 (1)胸やけが強いことが多い。特に食後横になると強く感じる。 (2)ゲップがよくでる。 (3)しばしば苦い水が上がってくる。 (4)よくお腹が張ったり、胃の辺が重苦しく感じる。 このうち二つ以上の項目に心当たりがあるならば、単なる食べ過ぎ、飲み過ぎによる胃炎ではなく、「逆流性食道炎」という病気になっている可能性があります。逆流性食道炎とは、胃液が食道に逆流して食道粘膜がただれて炎症を起こしている状態をいいます。 胃液の成分はpH2〜3というものすごく強い酸性度を有しています。胃の入り口(噴門部)には下部食道括約筋という弁があり、普通はこの弁で胃液は逆流しないような仕組みになっています。この弁が何らかの原因で緩みやすくなりますと、胃液は食道に逆流してしまいます。すると食道は胃のような強酸に堪える組織になっていませんので、容易に爛れてしまうというわけです。 逆流性食道炎は、先に示した症状の他、「胸痛」「のどのつかえ感」「しつっこい咳」など思いがけない症状を呈することもあり、要注意です。 診断は、胃内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)で食道粘膜のただれている様子が観察されれば、容易に付けられます。 治療としては、最近胃酸を強力に抑制する薬が出てきたので、これを服用することで予防と治療が容易にできるようになりました。なお食後すぐ横にならないこと、寝るときは背中に座布団などを入れ、上体を高くして寝るなどの姿勢も大切です。なお、逆流性食道炎は、7,8年前に比べて約4倍に増えているそうですから、たかが胸やけと軽視しないで下さい。 |
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