糖尿病を甘く見ないで下さい 〜ほうっておくと怖い末路〜
2011年8月
福島県農協会館診療所
所長 伊勢 重男

福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男
 癌と言えば、昔は不治の病として恐いものの代名詞のように見られてきました。しかし癌は検診などで無症状のうちに見つかれば、早期癌として大部分が治る時代になりました。それに対し糖尿病は国民病の一つとして急速に増えてきているにもかかわらず、いまだにその認識が低く一般的にその怖さが伝わっていないのではないかと思う事例をいくつも経験しています。この欄では糖尿病の怖さを何度も書いてきました。
 私のところでは日帰り人間ドックや市民健診(特定健診)を引き受けておりますが、検査項目として必ず「血糖値とヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)」を測定しています。HbA1cとは糖尿病の進行度の指標になる検査ですが、この値が6.1%以上になると糖尿病と診断されます。(正常では5.8%未満、近く国際基準に合わせて6.2未満となる予定です)
 以上の結果を踏まえて、「あなたは糖尿病の疑いがあります」ないしは「糖尿病の治療を開始する必要がありそうです」と伝えても、一向に気にしないで次の年の健診まで何もしていない方が結構いらっしゃいます。せっかく健診を受けているのに残念なことです。その理由を聞くと、別に体調に変化がなかったからと云います。ここに糖尿病の怖さがあります。
 糖尿病の初期は無症状なことが多いです。この時期に糖尿病の治療をしっかりやっておけば、平均寿命以上に長生きすることが可能です。ところが症状が現れてから治療を開始しても完全に元の状態に戻すのは難しいのです。
 糖尿病の本態は糖の代謝がうまく回らなくなる結果、全身の血管の動脈硬化が進むことにあります。そのため糖尿病は病気のデパートと言われるくらいで、頭のてっぺんから足の先まで様々な余病をひきおこします。
 全身的な症状として代表的なものに「高血圧」があります。また「すぐ膿み易く」風邪から肺炎になり易いことが挙げられます。
 頭部では、眼の「糖尿病性白内障」「糖尿病性網膜症」があります。また脳血管の障害として「脳梗塞」「脳血管性認知症」になり易いです。次に胸部では、心臓疾患特に「心筋梗塞」が代表的です。腹部内臓では、「糖尿病性腎症」が有名で、末期には人工透析が必要となります。脚に起こりますと、足の血管が詰まり、「糖尿病性壊疽」と呼ばれる状態になります。進むと足を切断しなければならない事態になります。
 以上のようなことを踏まえて、早め早めに対処するよう心がけましょう。

健康アドバイス

 

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