前立腺検診の驚くべき発見率
2012年2月
福島県農協会館診療所
所長 伊勢 重男

福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男
 胃がん検診、肺癌検診、乳がん・子宮がん検診などは長い歴史を持ち、それなりに市民に認知されておりますが、前立腺検診はまだ歴史が浅く、受診率もまだまだ低いのが現状です。福島市における前立腺がん検診の対象者は3万6千人ほどですが、21年度に受診した人数はその1割、つまり3015人に過ぎませんでした。ちなみに福島市21年度胃がん検診では、受診者84000人(受診率36%)でしたから、いかに認識されていないことかが分かります。
 近年のがん死亡率の傾向をみますと、肺がん・乳がん・大腸がんが生活習慣の欧米化に伴って急速に伸びてきています。そして前立腺疾患も高齢化社会の到来とともに増加しつつあります。日本でこのまま増加を続けると2020年には、罹る率(罹患率)は肺がんの次、男性がんの第二位になると予測されています。
 そこで国も前立腺がん検診に力を入れ始め、福島市では2007年(平成19年)から前立腺がん検診を開始しました。この検診状況を表にまとめてみました。ここで「がん発見率」にご注目下さい。

福島市前立腺がん検診状況
検診実施年度 2007年 2008年 2009年
受診対象者 17,918人 35,962人 36,268人
受診者 2250人 3420人 3015人
癌発見者数 38人 37人 35人
癌発見率 1.7% 1,08% 1.16%


 私はこの統計を見て驚きました。受診者の100人のうち一人以上に前立腺がんが発見されていることになるからです。もし福島市民50歳以上の対象者が全員受診したと仮定すれば、363人以上の前立腺がんが発見される計算になります。
 これに比べ、胃がん検診や肺がん検診では、受診者1000人に一人の割で(0.1%台で)がんが見つかればより高い発見率といわれる方なのですから、如何に前立腺検診での発見率が高いか分るでしょう。
 血液中には「PSA」という前立腺に由来する特殊なタンパクがありますが、がんになると増加します。そこで検診では、採血してPSAが高いかどうかを判定するわけです。各種の癌検診のなかで、採血だけで精密検査にもっていくのは前立腺しかありません。ここで強調しておきたいことは、PSAが高いからと言って必ずしもがんとは限らないということです。50歳以上の男性はどうか気軽に検診を受けて下さい。

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