市民健診(特定健診)に新しい項目が加わりました | |
2012年7月 福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男 |
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新しく追加された項目とは「腎臓の働きを調べる検査」ですが、そもそもなぜこの項目が追加されるようになったのか考えてみましょう。 現在糖尿病など生活習慣病がますます増加していることはもうご存じのことと思いますが、それにつれて、慢性腎臓病も増えているのは案外知られていないようです。糖尿病の初期と同じように自覚症状がないため、多くの方は自分が慢性腎臓病(CKD)だと気付いておりません。 ある自治体の統計では、平成22年度の慢性腎臓病の患者予備軍は成人の12%、つまり8人に1名の割でいると推定されています。福島市の国保特定健診対象者は48045名(平成22年現在)でしたから、この割合で行くと5765人の予備軍がいることになります。私自身ほんとかなと思うほど高い数値です。 慢性腎臓病の究極の病態(なれの果て)は尿が出なくなる「尿毒症」という状態に陥ることです。こうなると人工透析を受けなくてはなりません。日本の人工透析患者は年々増え続け、今年は30万人を超えると予想されます。その医療費は1兆円を超えています。そのため慢性腎臓病の予防が重要な課題になってきました。 今までは腎臓の働きを見るために「血清クレアチニン」検査を実施してきましたが、もっと詳しく検査するための項目に「eGFR・イージーエフアール(推算糸球体濾過率)」という検査が導入されました。 eGFRは、今まで測っていたクレアチニンの値を基に性別・年齢から計算した値で、腎臓が血液をろ過し、尿を作る働きがどのくらいあるかを見るものです。 20代の人のeGFRを100とすると、加齢とともに低下してきますが、eGFRが60未満となりますと、年齢に関係なく腎臓の機能低下を疑います。60~30のうちに治療を開始すれば腎機能は回復する可能性が大です。 また60未満になると腎機能低下のみならず、心筋梗塞や脳卒中などの生活習慣病などにもかかり易いことが分ってきました。何事も「早期発見・早期治療」が大切なことは言うまでもありません。 |
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