あなたは人間フォアグラ?
2012年9月
福島県農協会館診療所
所長 伊勢 重男

福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男
 糖尿病が国民病になっている現状は、何度もこの欄で紹介しました。さらにもう一つ新しい国民病になりつつある病気が増えています。
 私の診療所では日帰り人間ドックを実施しておりますが、その検査項目の一つとして腹部超音波検査があります。その際肝臓に脂肪が多くたまっている、いわゆる「脂肪肝」と診断される方の割合が予想外に高いので、本当に自分の診断が正しいのか正直言って悩んだ時もありました。
 しかし最近そのような状態は日本国内で予想以上に増えていることが分かってきました。私の診断もおおむねこの傾向に沿ったものなのでした。皆さんの中には、人間ドックや健診で「脂肪肝」を指摘された方も多いのではないでしょうか。脂肪肝は文字通り、肝臓に過剰な脂肪がたまった状態です。正常な肝臓は皆さんご存知の焼き鳥のレバーのように赤味を帯びていますが、脂肪肝となると脂肪のため白っぽく見えます。
 脂肪肝は高血圧症と同じく相当進行しても無症状ですから、これを指摘されてもあまり気にしないで放置している人も多いようです。
 脂肪肝は多くの調査結果から国内での成人の20~30%を占めているはずと考えられますから、少なくとも1000万人以上いるとみられます。
 では何故脂肪肝が問題になるのでしょうか。
 それは放置して進行させれば、肝炎や肝硬変を経て肝がんへ移行する場合があり、早めの対策が必要だからです。
 さて肝機能異常をきたす原因は(1)ウィルス性(2)薬剤性(3)免疫異常性(4)アルコール性(5)脂肪肝由来などいろいろあります。ドックや健診で肝機能検査のうちGOT(AST)、GPT(ALT)などの値が軽度上昇し、しかも前述の(1)~(3)までの項目が否定されれば、脂肪肝の存在を疑います。
 脂肪のたまり具合は超音波検査やCT検査などで調べます。たまり具合の軽重で「軽度」「中度」「重度」の脂肪肝と判定します。
 脂肪肝の原因は(1)アルコールの摂りすぎ(2)偏食(3)過食(4)運動不足などによることが判明しています。
 それに糖尿病、高脂血症、肥満など生活習慣病の状態にある人に多くみられます。
 ですから脂肪肝の予防対策は、一般の生活習慣病対策と同じと考えて下さい。糖尿病や高脂血症と異なり、脂肪肝には治療薬はありません。脂肪肝のみといわれた人には食事療法と運動療法が全てになります。
 お酒を全然飲まない人でも脂肪肝になります。これは「非アルコール性脂肪性肝炎(ナッシュ)」と呼ばれる肝炎に移行し、究極的には肝がんになり易いことが最近の研究で判ってきました。アルコールを飲まないから肝臓は大丈夫と油断しないで下さい。

健康アドバイス

 

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