こんな時は神経内科を受診してみては | |
2013年3月 福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男 |
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神経内科の先生も原因究明のために、詳細な神経所見検査、「筋電図、MRI、筋生検」などいろいろやったのにもかかわらず、異常所見はなかったそうです。 ただ甲状腺機能亢進症(バセドウ病)においてよくみられる筋異常を調べる目的で、念のためやっておいた甲状腺検査において「甲状腺機能低下症」が潜んでいたことが分かりました。 結局原因はなんと「甲状腺機能低下性ミオパチー(筋肉症)」と判明したのでした。普通若い男性のバセドウ病の場合、ミオパチーは全身の筋肉の脱力が多いのですが、この例の様に甲状腺機能低下症でのミオパチーは比較的稀なケースと言えます。 甲状腺は私の得意分野ですので、その神経内科の先生から甲状腺機能低下症の治療は私にまかせられたのでした。そこで当科でのホルモン剤投与で治療を開始したところ、次第に機能低下症は改善し、それとともに症状が嘘のように消失してしまいました。 このように神経内科は、臓器別にこだわることなく、全身の神経の働きや筋肉の動きなどから病気を見つけたり、特殊な治療を施す科です。 さて、この頃50歳以上に増加している病気の一つに「パーキンソン病」があります。最初の代表的症状は「手の震え、表情が乏しくなる、緩慢な動作など」で始まります。最初に神経内科に受診すべきなのに、全国患者の会の調査によりますと、初期治療が適切でなく、治療の遅れが多くなってきているといいます。 またこれと鑑別しなければならない病気は「パーキンソン症候群」です。症状は同じようなものですが、原因も治療法も大きく異なります。この鑑別は神経内科の最も得意とするところでしょう。 さらに現在300万人いると推定されている「脳卒中、特に脳梗塞」の診断とリハビリテーションの方針決定は神経内科医の腕の振るいどころでしょう。 現在原因不明の痛みやパーキンソン病で罹っている患者さんは多いのですが、どうも治療効果がはかばかしくないと思っている方も多いようです。そのような場合は、一度思い切って「神経内科の受診はどうだろうか」と主治医と相談なさってみては如何でしょうか。 |
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