以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

暑い時注意するのは脱水症だけではありません
2013年7月
福島県農協会館診療所
所長 伊勢 重男

福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男
 梅雨に入りながら福島市は県下一の高温を記録しています。汗をかけば脱水症が心配ですが、その他にも注意しなければならないことがあります。
 皆さんのうち、特に女性の方は金属製のアクセサリーを身に付けて、赤くなったり、かゆくなったりするのを経験したことはありませんか。直接肌につけるピアスやネックレスを付けた部に多く見られ、しかも夏に多いようです。これは汗をかく夏に多く現れ易いお肌の傷害の一つです。
 何故夏にこのような障害が多いのでしょうか。それはスギやブタクサによる花粉症と同じく免疫異常(アレルギー反応)によるものなのです。
 直接肌に触れた金属はアルカリ性の汗によってイオン化して少しずつ溶け出します。それが皮膚から吸収されて血中に入ると、ある種のタンパク質と結合して血液中に漂っています。
 ただし、これは身体を構成する本来の成分ではないため、体は自分には邪魔な異物(この場合は金属)とみなして、防御すべき「抗体」を作って排除しようとします。そしてまた異物が入ってくるのを監視しています。
 再び金属が体に入ってくると、抗体はこれを排除しようとして激しく反応します。この戦いが皮膚のカブレやブツブツとして現われます。これが「金属によるアレルギー反応」というわけです。
 金属と言っても、アレルギー反応が現れやすいものとそうでないものとがあります。特にアレルギーを起し易い金属としては、「ニッケル」「コバルト」「錫」「鉄」「プラチナ」「パラジュウム」「銀」「金」「クローム」等が知られています。
 特にかぶれ易いのがアクセサリーによく含まれる「ニッケル」です。これはピアス、ブラジャーの金具、ネックレスなどに使われますが、その他意外に知られていないのが「化粧品」にも含まれていることです。
 歯科でよく用いられる金属類で「コバルト」「金」によるアレルギー反応も有名です。数年前あるテレビで、湿疹に悩まされていた女性が歯科用金属を全て取り外してもらったところ、改善したという内容が放送されていました。このように、金属アレルギーは直接接していないようなところにも影響が現れ、場合によっては重症になる場合があることを頭に入れておいて下さい。
 以上のような理由で、汗をかく暑い季節は金属を直接肌に当てないことが望ましいです。金属を当てた部位にかぶれが生じたら早めに皮膚科を受診して、どのような金属がカブレ易いのか、原因をはっきりさせておく検査(パッチテストなど)を受けることをお奨めします。