知らないうちに骨折とは
2013年11月
福島県農協会館診療所
所長 伊勢 重男

福島県農協会館診療所 所長 伊勢 重男
 腰の痛みを訴える患者さんには、腰椎(こしぼね)の具合を見るために腰椎レントゲン写真をよく撮ります。しかし腰椎を見る目的でなくても、私は人間ドックの胃透視とか腹痛の際に撮ったレ線写真に腰椎が写っている像に接する機会が多いですが、その際高齢者では、脊椎(セキツイ。せぼね、こしぼねの総称)が変形している像によく出遭います。脊椎は背骨12個、腰骨5個の椎体からなっていることはご存じでしょう。
 強い変形例では、胸椎(胸部の脊椎)か腰椎が前後にくさび状につぶれている像が見られる場合があります。これは脊柱に上下方向に強い力が掛って、押しつぶされたことが原因とみられ、「脊椎圧迫骨折」と呼ばれます。
 脊椎圧迫骨折を起こし易い人は、高齢の女性で特に骨粗しょう症(骨がスカスカになる病気)に陥っている方が多いのです。70歳代の日本の女性では、人口10万当たり3千人が骨粗しょう症に罹っていると見なされています。
 脊椎圧迫骨折の直接の原因は、上下に力がかかる衝撃として「尻もちをつく」のが最も多いのですが、その他「重いものを不用意に持ち上げる」とか、「くしゃみをする」、「体を急に捻る」など何気ない動作で起こることも稀ではありません。
 しかし幸いといいましょうか、あまり強い痛みを訴えない人が多く、受傷後70%の人が病院に行かずに済ましているといわれます。残り30%の人が骨折時に背中か腰に激しい痛みが現れるため、治療を受けています。
 では痛みがなければそのままにしておいてよいものでしょうか。実はそのまま放置しておくと、その上下の椎体に負担が掛かるので、さらに別の椎体に骨折が起こり易くなります。いわゆる「腰曲がり」のひどい方はこのような可能性が高いのです。
 この「背中が丸くなる」「腰曲がり」が強くなると、日常生活に支障をきたす症状につながりますので、要注意です。例えば、胃が圧迫されて、食事の量が減ったり、胸が狭くなって肺活量が減り、すぐ息切れがくるので日常生活の活動性が制限されるなどにより、骨や筋肉が弱くなり、最終的には寝たきりの生活にの原因になりかねません。
 その予防法としては、病院などで骨密度を測ってもらい、自分の骨の具合を知って置くことも必要でしょう。特に親が腰曲がりのひどかった方にはお勧めします。

健康アドバイス

 

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