「ヒートショック」って何?
2015年1月
福島県農協会館診療所(所長)
重富 秀一

 「ヒートショック」には、細胞が適温より高い熱にさらされる(細胞がヒートショックを受けると保護のためにヒートショック蛋白が産生される)という意味と、急激な環境温度の変化によって私たちの身体が良くない影響を受けるという意味があります。前者は純粋医学用語であり、後者は建築業界や暖房メーカーで使われている用語です。冬によく話題になる「ヒートショック」は後者です。今回は、後者の「ヒートショック」についてお話します。私たち人間が外気温に関係なく安定した活動ができるのは、体温を一定に保つ仕組みを持っているからです。外気温が高いときは汗をかいて熱を発散させ、低いときには立毛筋を収縮させて皮膚の毛穴を塞いで熱を逃がさないようにします。もっと寒くなると、生命を維持に重要な臓器を保護するため血管を収縮させて手足に流れる血液を減らし、内臓に血液を集めるようにします。寒いと手足が冷えるのはこういう理由によります。寒冷にさらされると、自律神経が反応して血圧が急上昇したり、血液が凝固しやすくなったりします。急に寒いところに移動すると高血圧が悪化したり不整脈が出現したりするだけでなく、脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる病気を発症することもありますので気をつけてください。逆に、寒いところから急に暖かい環境に移るのもよくありません。収縮していた血管が一気に広がって血圧が下がり、めまいや立ちくらみがしたり、失神したりすることもあります。冬の入浴は【暖⇒寒⇒暖】と短時間で急に環境が変わる典型的な例です。10℃以下の脱衣場で裸になり、42℃以上のお風呂に急に飛び込む行為はきわめて危険です。忘年会や新年会でお酒を飲んだ後、夜中にたった一人で温泉に入るのもやめましょう。サウナや露天風呂に入るのは、宴会の前にしてください。ヒートショックに関連した急死は入浴中に起こることが多く、一年間で約1万7,000人もいるそうです(交通事故による死亡者数の約4倍)。死亡例は8月が最も少なく、12月から1月に多い(約11倍)そうです。動脈硬化が進行すると血管の弾力性がなくなり血圧の変動が大きくなりますので、高血圧・糖尿病、・心臓病などで治療している方や、持病がなくとも還暦を過ぎた方はあまり熱いお風呂は避けましょう。寒さも我慢しないでください。冬の健康維持・疾病予防には生活環境の温度管理がとてもたいせつです。

健康アドバイス

 

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