酒は百薬の長、それとも…
2015年3月
福島県農協会館診療所(所長)
重富 秀一

 4月は歓迎会やお花見でお酒を飲む機会が多くなります。うっかり飲みすぎて失敗した経験をお持ちの方もいるかも知れません。吉田兼好は有名な徒然草の中で「百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ」と記しています。一般の人がお酒を飲むようになったのは鎌倉時代からで、徳利が出来たのは室町時代だそうです。江戸時代にはワイン、ビール、ウィスキー、ブランデーなどの洋酒も飲まれるようになったとは驚きです。飲酒後の血中アルコール濃度は30分〜2時間で最大となります。アルコールは胃で20%、小腸上部で80%が吸収されますが、小腸での吸収速度はとても速いので、何も食べずにお酒を飲むと早く酔ってしまいます。アルコールは肝臓で酸化されてアルデヒドという物質に変わります。この物質は有毒で動悸や頭痛などの不快な症状を引き起こすことが知られています。アルデヒドは酵素の働きで酢酸に変換されたあと肝臓から出て、筋肉や脂肪に運ばれて水と二酸化炭素になります。アルデヒドを分解する酵素の力は生まれつき決まっており、この働きが弱い人は悪酔いしやすいので注意が必要です。お酒に弱かった人が酒付き合いをしているうち飲める量が増えることがありますが、これは酵素の働きが良くなったのではなく脳細胞の感受性が鈍くなったためと考えられています。お酒が強い人はアルコール依存症のリスクが高いといわれていますので気をつけてください。高齢者の過度の飲酒は健康寿命を短くすることが知られています。アルコールが原因で脳血管障害(脳出血や脳梗塞)、骨折、認知症などの病気が誘発され、寝たきり状態になる人も少なくありません。仕事から解放され自由な時間が多くなったら、お酒を飲む時間を増やすよりは、趣味を楽しんだり社会的活動などに参加したりしてはいかがでしょうか。アルコール換算で20ml(日本酒1合、ビール500ml)を1単位と言います。2単位のアルコールが体内から消失するには6〜8時間かかると言われています。深夜まで飲むと翌朝までアルコールが残りますので、お酒は食事と一緒に楽しんで、眠りにつく3時間前には飲み終えるように心がけましょう。

健康アドバイス

 

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