以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

梅雨どきの健康管理
2015年5月
福島県農協会館診療所(所長)
重富 秀一

 春から夏に移り変わる時期は、寒暖の差が大きく湿気の多い日が続きますが、気候の変化に対して身体が順応できていないので体調を崩す人が少なくありません。6月は「衣替え」ということで薄着をする人が増えますが、日中は汗をかくほど暑いのに夕方から夜にかけて急に冷え込むことがありますので外出時には寒さへの備えが必要です。湿気の多い日が続くと、カビやダニが繁殖しやすいですし汗をかいても乾きにくいので、アトピー性皮膚炎や気管支喘息が悪化することもあります。食中毒にも気をつける必要があります。食中毒の原因はウイルスや細菌(細菌が産生する毒素)です。6月~8月には腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌、キャンピロバクターなどの細菌による食中毒が多いことが知られています。冬に流行するウイルス性腸炎と違って人から人に感染する確率は低いのですが、まれに集団発生することがあります。細菌は10℃以下になると増殖が遅くなり、マイナス15℃以下では増殖が停止するので、生鮮食料品は早めに低温あるいは冷凍保存するように心がけましょう。殺菌には加熱が有効ですが、毒素はなくならないので、保存状態が良くない食べ物は加熱しても危険です。キッチン用品(まな板・包丁・食器など)を清潔に保つことも忘れないでください。私たちの口の中や腸管には「常在菌」といわれる多数の細菌が存在していますが、これらの菌は基本的には人の健康に影響を与えることはありません。むしろ安定して多数で存在することにより、侵入した病原性微生物の繁殖を抑制し病気になるのを防ぐ働きをしています。食べ物や水にも多少の菌やウイルスは存在しますが、数が少なく病原性が強くなければ食中毒を起こすことはほとんどありません。1)食べ物に細菌やウイルスをつけない、2)低温保存で細菌を増やさない、3)加熱をして細菌をやっつける、この三原則を守って食中毒を予防しましょう。