睡眠障害(とくに不眠症)のはなし
2015年7月
福島県農協会館診療所(所長)
重富 秀一

 人間の「ねむり」と「目覚め」は、脳の体内時計による「時刻依存性調節」と覚醒時間の長さによる「恒常性維持機能」という二つのシステムによって調節されているそうです。夜になると自然に眠くなり朝には目覚めますし、何日も徹夜が続くと昼でもぐっすり眠ることができるのはこのためです。睡眠と覚醒は微妙なバランスを保ちながらコントロールされていますが、この調節の歯車がうまく噛み合わなくなくなると、睡眠障害(不眠症および過眠症)を引き起こします。不眠症とは、思い当たるようなストレスや身体的苦痛(痛み、かゆみ、むずむず感など)がないのに、寝つくまでに2時間以上かかる(入眠障害)ったり、夜中に何回も目覚める(中途覚醒)、熟睡した感じがない(熟眠障害)、いつもより2時間も早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)などの症状が週2回以上、少なくとも1ヶ月続いくことで、本人が苦痛を感じたり、仕事に支障がでたりする状態を言います。不眠で悩む人は5人に一人とも言われています。不眠が続くと脳の疲労が蓄積し、集中力や判断力が低下します。日中不意に眠気が起こると思いがけないし失敗や事故を引き起こすことにもなります。イライラが続くと血圧が上昇しますし、免疫力が低下して病気に罹りやすくなります。不眠症といえども放置するのは良くありませので、早めに医師と相談しましょう。脳波などによる睡眠の研究によれば、人は高齢になるほど総睡眠時間と睡眠効率は減少し、中途覚醒時間が増加するそうですが、高齢者ほど早寝の傾向にあるようです。厚生労働省の調査では、睡眠時間9時間以上の割合は、70歳未満で2%未満、70歳以上では10%だそうです。日本人の平均睡眠時間は6〜7時間ですが、睡眠時間が短くとも仕事や日々の生活に影響がなければ大丈夫です。寝つきが悪い人はあまり早く就寝をするのはやめて、眠くなってから布団に入りましょう。不眠症の克服には「早寝」より「早起き」のほう効果的です。快適な眠りも大事ですが、起きている時間の有効活用もたいせつです。

健康アドバイス

 

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