トランス脂肪酸と動脈硬化
2015年9月
福島県農協会館診療所(所長)
重富 秀一

 「脂質は健康に良くない」と思っていませんか?確かに、脂質のカロリーは1gあたり9kcalと炭水化物やたんぱく質(いずれも4kcal)の倍以上ですから、慢性的に油の多い食事をすれば肥満になりやすいし、動脈硬化などいろいろな病気を引き起こす可能性が高まります。しかし、コレステロールや中性脂肪などの脂質は、細胞膜の成分やホルモンの材料として重要ですし、体の中でつくることができない必須脂肪酸というものもありますので、一定量の脂質は摂取しなければなりません。私たちに必要な脂質の量は、1日に必要なエネルギーの20〜25%と言われています。日本人の平均脂質摂取量は必要カロリーの25%とほぼ適量で、動物性食品、植物性食品、魚類などのバランスも問題はないそうですが、食事中の脂質がエネルギー比率で30%を超えている人は、20歳以上の男性で約2割、女性で約3割という調査結果もありますので注意は必要です。ところで、最近話題になっているトランス脂肪酸について少しお話します。3個の脂肪酸がグリセリンと結合したものを中性脂肪といいます。脂肪酸にはたくさんの種類があるのですが、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大別され、不飽和脂肪酸はさらにシス型とトランス型に分類されます。自然界に存在する不飽和脂肪酸のほとんどはシス型ですが、熱を加えたり、加工したりする過程で水素が反対側に結合したトランス型の脂肪酸ができます。トランス脂肪酸は微生物の働きでも生成されます。本年6月16日、アメリカ食品医薬品局(FDA)がマーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」の発生源となる油の使用を、2018年以降原則禁止すると発表したことで注目が集まりました。トランス脂肪酸を過剰に摂取すると臓器の炎症や血管障害を引き起こし、血栓の形成を促進したり動脈硬化の進展を促進したりすることが明らかにされていますので、トランス脂肪酸を含む食品を食べ過ぎるのは健康に良くありません。WHO/FAO合同専門委員会は一日のトランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量1%未満と勧告しています。日本人が摂取しているトランス脂肪酸の量は推定0.3〜0.6%(内閣府食品安全委員会2007年)なので、いまのところは心配ないようです。

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