以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

大雑把な糖尿病のはなし
2015年11月
福島県農協会館診療所(所長)
重富 秀一

 先月に続いて糖尿病の話です。多くの皆さんはインターネットを利用されると思います。ネット上には糖尿病に関する情報が溢れていますが、その信憑性は保証されていませんので、内容を鵜呑みにすると危険です。うっかり連続して検索していくと通販サイトに誘導されてしまいます。さて、糖尿病の原因はさまざまで、原因のすべてが解明されたわけではありませんが、治療法は飛躍的に進歩しましたので、血糖値をコントロールすることは難しくなくなりました。高血糖が慢性的に続く状態を糖尿病と言います。1型糖尿病(膵臓からインスリンが分泌されないもの)、2型糖尿病、妊娠糖尿病(妊娠中に発見されたもの)、その他の糖尿病(さまざまな原因で起こる稀なもの)4つに分類されますが、圧倒的に多いのが2型糖尿病です。正常な人の血糖は食前で109mg/dl以下、食後でも140mg/dl位です。血糖が空腹時で126mg/dl以上または糖負荷試験2時間後で200mg/dl以上になると糖尿病域と呼ばれます。糖尿病域の血糖値が日を変えて2回以上確認された場合や、血糖値が糖尿病域にあってHbA1cが6.5%以上である場合に糖尿病と診断されます。糖尿病と診断されてもあわてる必要はありません。まず、糖尿病特有の合併症があるかないかを調べて、もし合併症がなければ医師の指示のもとで食事療法と運動療法を頑張ればいいのです。自分なりに頑張って血糖値が改善し、HbA1cも5~6%台に落ち着けば薬を飲まなくてもいいので、毎月検査を受けに通院して血糖が安定しているかどうか確認しましょう。もし、生活習慣を是正しても血糖値があまり下がらず、HbA1cが7~8%以上ある時は医師の指示に従って薬物治療を受けてください。少しの薬ですぐよくなる人もいれば、何種類かの薬を飲んでやっと改善する人もいます。中にはインスリンなどの注射が必要になることもあります。たくさん薬を飲むのも、注射をするのも嫌だという気持ちはよくわかりますが、中途半端な治療でHbA1cが高いまま何年も経過すると間違いなく合併症で辛い思いをすることになります。ネット通販の甘い言葉に誘われて治療を先延ばしにするのはやめましょう。糖尿病の合併症予防のための目標値はHbA1c7.0%未満です。