「たばこ」の歴史と健康の話
2015年12月
福島県農協会館診療所(所長)
重富 秀一

 「たばこ」はナス科タバコ属の植物で、古代アメリカ大陸が起源といわれています。新大陸ではじめてたばこの喫煙に出会ったのはコロンブスです。先住民が「たばこ」を薬草として使用していたこともあって、スペインの医師は「たばこ」を万能薬と位置づけて喫煙を推奨しました。しかし、たばこの煙や匂いを嫌がる人は昔もいたようで、たばこ嫌いで有名なイングランド王・アイルランド王ジェームズ1世は、たばこに約40倍もの関税をかけたり、イギリス国内での「たばこ」の栽培を禁止したりしましたが、すでに貴族から庶民まであらゆる人々の習慣としてすでに定着していたこともあって、民衆の喫煙をやめさせることはできませんでした。我が国にたばこが伝わったのは16世紀、記録上はじめて「たばこ」に出会った人は徳川家康です。江戸時代には庶民の間にも喫煙の習慣が広がりましたが、福岡藩の儒学者で養生訓を書いたことで有名な貝原益軒は「煙草は性毒あり。煙を含みてめまい倒れることあり。習へば大なる害なく、少は益ありといへども、損多し。病をなすことあり。また、火災のうれいあり。習へば癖になり、むさぼりて後には止めがたし。--(中略)-- 初よりふくまざるにしかず。貧民は費(ついえ)多し。」と、三百年も前に喫煙の弊害を指摘しています。明治初期までの喫煙は煙管(キセル)が主流でしたが、19世紀になって紙巻たばこが広がり現在に至っています。平成25年の喫煙率は全国平均21.6%(男30.3%、女9.8%)、福島県が25.0%で全国3位でした。たばこの煙にはニコチンやタール以外にも複数の発ガン物質や一酸化炭素など、多くの有害物質が含まれていますし、副流煙が健康に悪影響を及ぼすこともわかってきました。喫煙による心臓・循環器疾患の増加、胎児への影響も心配されています。喫煙者の平均寿命は非喫煙者より3年から10年短いという報告もあります。禁煙運動の世界的な広がりを受けて平成11年に「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の起草・政府間交渉が始まり、平成15年のWHO総会で条約が採択され(日本は翌年に締結)、平成17年に発効しました。世界各国でたばこ喫煙の規制、分煙環境の整備は進んでいますが。いまのところ完全禁煙国はありません。

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