以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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Dr.メッセージ

五月病
2016年5月
福島県農協会館診療所(所長)
重富 秀一

 新年度に入って張り切って仕事をしていたのに、最近なんとなく調子が悪く、元気がでない。歓迎会などでお酒を飲む機会が多かったので、もしかしたら肝機能でも悪くなったのかもしれないと思って病院で血液検査をしてもらったところ異常がないといわれたが、からだのだるさは消えないし、気持ちも何となく冴えず、集中力も低下している気がする。これが、いわゆる「五月病(ごがつびょう)」と言われるものです。新入社員、新入生あるいは転勤や転職で異動した人が罹りやすく、原因としては、①新しい環境になかなかついていけない、②初めて会う上司や同僚とのコミュニケーションがうまくとれない、③理想と現実のギャップを感じて失望する、④新しい土地での暮らしに馴染めない、など様々な要因が考えられます。心身の変調は、いままでと違った環境で仕事や勉強を初めて1ヶ月くらい経った頃に起こることが多いので「五月病」といわれますが、正式な医学用語ではありません。「五月病」の実態は、様々なストレスを感じた結果として起こる、軽度の「適応障害」または「うつ状態」です。たいていは一時的なもので、自分なりに気分転換を行い、新しい上司や同僚との人間関係にも慣れてくれば、1〜2ヶ月で自然に体調が戻ります。生真面目で責任感が強い人、忍耐力がありすぎる人、頑固で融通の利かない人、理想が高くロマンチックな人などが五月病になりやすいと言われています。もし、「五月病かな?」と思ったら、心とからだをリラックスさせるような工夫をしてください。職場に気の合う人がいれば、休憩時間に仕事以外の話をするのも良いでしょう。朝食をきちんと食べて出勤し、夜は早めに休みましょう。オフの日には仕事を離れてリラックスしてください。上司の役割もたいせつです。新しく配属された職員の様子が、初めの頃と何となく違ってきたと感じたら、さりげなく話しかけてみてください。信頼関係ができれば悩みを打ち明けてくれるかも知れません。五月病は自然に治ることが多いとはいえ、人によっては症状がいつまでも改善せず、専門医の治療が必要になるほど深刻な状態に陥ることもあるので、油断はできません。もし、心身の不調が長引くときには、ためらわずに医師の診察を受けましょう。