意外と多い秋の食中毒 |
2016年8月 鹿島厚生病院 副看護師長 木村 有里 |
気温も湿度も高い真夏に食中毒が多いと思われがちですが、厚生労働省の調べでは年間で1番発生件数の多い時期は9〜11月です。夏バテして体力が落ち、免疫力が低下しているところに大きな気温の変化が加わり、体調を崩しやすくなります。秋は行楽シーズンでバーベキューや運動会、お祭りなどの食事が増えることも影響しています。 〈食中毒の原因は?〉 最も多いのは、細菌やウイルスによる感染性のものです。秋にはキノコやフグなどの自然毒などによるものが増えてくるので注意が必要です。代表的な原因菌としては、カンピロバクターや腸管出血性大腸菌が多いが、食肉を生食、または不完全加熱処理品として食べることで発生しやすくなります。 〈食中毒の症状とは?〉 食品を食べて症状が出るまでの潜伏期間は、原因となる細菌やどのくらいに量を食べたかによって異なります。主に腹痛、発熱、下痢、嘔吐などの消化器官の症状が現れます。重症化すると、血便・高熱・ショック症状・意識障害が現れることがあります。食中毒が疑われる場合は必ず医療機関で診察を受けて下さい。放っておくと重症化し、死に至ることもあるので医師の診察を受けることが大切です。 早急な治療が必要な場合は次の通りです。 〈食中毒を予防するには…〉 細菌の食中毒を予防するための原則は3つあります。 「つけない」「増やさない」「やっつける」です。 1.「つけない」= 洗う、分ける 食品や手、調理器具はこまめに洗いましょう。 食品は分けて保存しましょう。 まな板や包丁は、野菜用と肉・魚用に分けましょう。 2.「増やさない」= 低温で保存する。 マイナス15℃以下では繁殖が停止するため、 食べ物に付着した菌を「増やさない」ように低温で保存しましょう。 3.「やっつける」= 加熱処理 ほとんどの細菌は、加熱で死滅します。十分な加熱を心がけましょう。 肉料理は中心部を75℃で1分以上の加熱することが目安です。 調理器具は洗剤で洗ってから、洗浄後に熱湯をかけて殺菌しましょう。 台所用殺菌剤の使用も効果的です。 *ウイルスの場合は、調理場内へ「持ち込まない」「ひろげない」ことが重要です。 「持ち込まない」= 健康状態の把握・管理 ウイルスを持ち込まないためには感染しないこと、感染した場合には調理場には入らないことが必要です。 「ひろげない」= 手洗い、定期的な消毒・清掃 万が一、ウイルスが調理場内に持ち込まれてもそれが食品に付着しなければ食中毒に至ることはありません。こまめな手洗いと調理器具の洗浄・消毒を定期的に行いましょう。 |
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