大腸CT検査のご案内 | ||||||||||||||||
2016年10月 鹿島厚生病院 放射線科 主任 田代 和広 |
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大腸がんとは? 大腸がんは、長さ約2mの大腸(結腸・直腸・肛門)に発生するがんで、日本人ではS状結腸と直腸にできやすいがんです。大腸粘膜の細胞から発生し、ポリープ(腺腫)という良性の腫瘍の一部ががん化して発生したものと正常粘膜から直接発生するものがあります。進行スピードはゆっくりですが粘膜の表面から発生し、大腸の壁に次第に深く侵入していき、進行するにつれて、リンパ節や肝臓や肺などのほかの臓器に転移します。 早期に発見できれば完全に治る可能性が高く、少し進んでも手術が可能な病状であれば、肝臓や肺などへの転移(遠隔転移と呼ぶ)が認められていても、手術により根治できる場合があります。 大腸がんは年間およそ10万人が発症する国内で2番目に多いがんです。 国立がん研究センターが公表した「がん診療連携拠点病院」(409施設)の2013年の診療実績によれば、男性の部位別症例数では、大腸がんが初めて1位になったそうです。つまり、大腸がんは今日本人が最も注意するべきがんなのです(図1)。 ※罹患率(りかんりつ):その病気にかかった人がどのくらいいるかの割合 ※死亡率:その病気が原因で死亡した人がどのくらいいるかの割合 図1:がん罹患率と死亡数(国立がん研究センターより) |
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大腸CTとは? 大腸がんの検査方法には、便潜血検査、内視鏡検査、注腸バリウム検査などがあります。 大腸CTは、大腸をガスの注入によって拡張させ、最新のマルチスライスCT装置を用いて 撮影することで、大腸の3次元画像を簡単に得ることができるようになりました。 内視鏡検査と比較して、苦痛が少なくスムーズに大腸を検査する事が可能です。 欧米では、CTを用いて大腸を診断することが一般化しており、“CTコロノグフィ(CTC)”として大腸がん検診への応用が始まっています(図2、図3)。日本ではあまり知られていませんが、アメリカ合衆国のオバマ大統領は健康診断の際に大腸を内視鏡ではなく、大腸CTで検査しています。オバマ大統領の健康診断結果はインターネットから確認できます(これを見ると、オバマ大統領が喫煙者であったことが分かったりもします)。 (http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/rss_viewer/potus_med_exam_feb2010.pdf)
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検査方法は?(図4) 1. 太さ約5mmの細いチューブを肛門に少しだけ挿入します。 2. 大腸を刺激しないようにゆっくりガスをいれます (空気の約130倍吸収の早い炭酸ガスを使用しています)。 3. 少しお腹が張ってきたところで確認し、大腸が均一に拡張していればCTで仰向けとうつ伏せの撮影を行います。 4. 撮影が終了したらチューブをを抜きます。この間約15分ぐらいです。 長所 ●内視鏡に比べ苦痛が少ない。 ●内視鏡ができない方でも検査ができる。 ●お腹全体を撮影するため、大腸の全体像や病変の形状、他の臓器との位置関係が把握できます。 ●臨床的に問題となる5mm以上のポリープにおける十分な診断能が確認されています。 短所 ●組織の採取ができないので、異常が指摘された場合は大腸内視鏡を受けることが必要です。 ●病変の硬さや色はわからない。 ●平坦な病変や小さな病変(5mm以下)はわかりにくい。 ●CT装置を使用するためエックス線被ばくがあります(通常のCT検査と同じです)。 まとめ 大腸CTについて説明させて頂きました。図5に大腸検診チェック項目がありますので、まずは該当がないかチェックしてみましょう。不安を感じられる方は健康維持のためお早目に医療機関受診をお勧めします。なお、当院での大腸検査は内科が担当しておりますので、お気軽にご相談下さい。
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チェックあなたは大丈夫?
図5:大腸検診チェック項目 |
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