食べることは生きること いつまでも食べる喜びを |
2017年4月 介護老人保健厚寿苑 管理栄養士 西畑 拓真 |
●低栄養と食べる力の低下に注意 高齢になるにつれ、食欲の減退、食べる量の減少などで低栄養になりがちです。また、加齢とともに食べ物を噛んだり、飲みこんだりする機能が低下してきます。毎日規則正しく食べ、良質のたんぱく質をとり、栄養バランスのとれた食事をすることが大切ですが、噛んだり、飲みこんだりする機能が落ちた高齢者には、その状態に合わせた食べ物・食べ方が必要になってきます。 ●高齢者の食を見守る 高齢者の食については、おいしく食べられているか、栄養的にバランスが取れているか、そして、現在の食べる為の咀嚼や嚥下の能力はどれくらいあるのか…など周りの人がよく把握していかなければいけません。 手足の筋力が低下すると、買い物が億劫になり、料理が面倒になります。また、噛む力が衰えると、飲みこむときにむせることが多くなり、ついには、食べる体力も弱っていくのです。食べることは人間が生きる上でとっても大切なことです。食べることができないものが増えると、食べることさえも本人にとって苦しみになってしまいます。そうならない為に、いつまでも食べることを喜びにできる料理の工夫があります。 ●料理にひと工夫 食材の特徴を再確認して、一人一人の噛む力や飲みこむ力に合った調理を工夫することが大切です。 ☆加熱する 料理が柔らかくなります。 例)煮物・和え物など ☆切り方を工夫する 野菜は繊維を断つ様に切ることで筋が残らず食べやすくなる。 例)玉ねぎ・ほうれん草・ごぼう ☆パサパサさせない 適度に水分をプラスすると食べやすくなる。 例)オムレツ・フレンチトースト ☆脂肪を加える 食べ物がなめらかになり飲みこみやすくなる 例)ポテトサラダ ☆つなぎを入れる 卵、小麦を使用し食べやすくまとめること。肉類も食べやすくなる。 例)ハンバーグ・肉団子 ☆とろみをつける 食べ物が口や喉をゆっくり通過でき、むせにくくなる。 例)ポタージュ・あんかけ ☆細かく刻まない 食材が細かいと口の中でばらばらになり、飲みこみにくくなる。 ☆一口大にする 一口にたくさん入れてしまうことを防ぎ、むせこみにくくなる。 ●食べる環境も整えましょう。 食事中にうまく飲みこめないのは、姿勢などの食べる環境も原因の一つです。椅子に座ったら、かかとを床につけ、しっかり腰を引き姿勢を安定させるようにすると食べやすくなります。また、食事に集中するために、テレビをつけたままにしないことや、何かをしながら食べることをやめるのも有効な方法です。 季節のおかず 「すりおろし筍の味噌もち」 今が旬、香りたっぷりの筍を使った食べ易い、おすすめレシピ。春の香りで食欲満点。普段は固くて食べにくい筍も工夫ひとつで美味しくいただけます。ぜひ試してみてください。 □材料 ・たけのこ(水煮) 200g ・味噌 小さじ2 ・片栗粉 大さじ3 ・ごま油 小さじ1 □作り方 ①ボールに筍をすりおろす。 ②①にみそ・片栗粉を入れ混ぜ合わせ、一口大程度に平たく丸める。 ③フライパンにごま油を入れ中火できつね色になるまで焼く。 ④裏返して蓋をし、3分ほど蒸し焼きにする。 ⑤器に盛り付け完成。 |
福島県厚生農業協同組合連合会 福島県福島市飯坂町平野字三枚長1−1 TEL(024)554−3450 FAX(024)554−3483