薬の正しい飲み方・使い方について |
2004年01月23日放送 白河厚生総合病院 塩田 恒雄 |
本日は薬の正しい飲み方、使い方についてお話します。医師から処方された薬が、最大限に効果を発揮するためには、正しく選択された薬を正しく使用することが第一条件となります。薬は病気の種類、症状、体質、年齢、体重などの条件の違いにしたがって処方されています。同じ病気であっても人によって薬の処方は違いますから、ほかの人に処方された薬を飲んだり、自分の薬を他人に与えたりは絶対にしないでください。指示された時間、回数、期間など正確に守って飲むことは病気の治療上もっとも重要な条件です。また、薬は指示された使用期限内に使い、古くなった薬は廃棄して使用しないでください。とくに水剤は変化を起こしやすく、効力の低下や有害物質の発生も起こりますので注意してください。薬を服用し忘れた場合、2回分を一緒に飲まないでください。忘れたことに早く気付いたときはその時点で飲んでもよいのですが、次回の服用に近い場合は次回に1回分を服用し、飲み忘れた分は抜いてください。 薬を保管するときは高温、湿気をさけ光の当たらない場所に保管します。冷所保存と指示されている場合は、きちんと冷蔵庫で保管し、冷凍庫で凍結させないよう注意してください。 薬を服用した後に副作用などの薬物アレルギーを起こす薬、主にペニシリン系の抗生物質などのショックや発疹、発赤、かゆみ、肝障害、血液障害が起こることがありますので、こういった薬物アレルギー症状が起こったときは、とりあえず服用を中止し、すぐに医師に相談してください。また、車を運転する人は、薬によってねむけ、もうろう感、めまい等を起こすものがあり、このような状態で車を運転すると思わぬ事故を引き起こしかねませんので注意する必要があります。 薬の剤型は、内服剤、外用剤、注射剤があります。 内服剤は、経口剤ともいい口から飲む剤型です。服用時間は、食前、食間、食後と食事に関連付けて指定されています。食後は食事をしてから30分後に服用してください。胃腸障害を起こしやすい薬や、飲み忘れては困る薬の場合に指示され、抗炎症剤、解熱鎮痛剤などの数多くの内服剤の服用法です。とくに胃腸障害が現れやすい解熱鎮痛剤などの場合は、食事中や食後すぐに服用します。食前服用は食事をとる30分前に服用してください。食後に服用することによって、食べ物や胃酸と反応して効力が低下してしまうものがあります。主に漢方薬や食欲増進剤、鎮吐剤などがあります。糖尿病における食後の過血糖を改善するアカルボース製剤などは食事の直前に服用するのが原則です。また骨粗鬆症薬のビスホネート製剤などには、一日一回の食前服用であり、服用後30分は横にならず、水以外の飲食や他の薬の服用はさけてください。食間服用は、朝食と昼食との間というように、食事と食事の間の空腹時に飲んでくださいという意味で、食後2時間ぐらいに飲むのが正しい服用法です。薬の効果を早く現したい場合などのときに指示され、強心剤や制酸剤などがあります。服用回数は、一日1~数回のものがあり、一日一回のものは徐放剤という効果が24時間以上続く薬剤などが開発され、1回の服用で済む場合が増えてきました。消化性潰瘍治療剤のプロトポンプ阻害剤などのタケプロンや、抗アレルギー薬などの徐放剤があります。また、痛み・便秘・不眠などの症状を一時的に抑えようとするときの薬、鎮痛剤・下剤・睡眠剤などがあります。一日二回服用は、一日三回の定期的な服用ができない人や、飲み忘れたりしがちな人に増えています。消化性潰瘍薬のH2ブロッカー剤や、抗アレルギー剤などで二回服用のものなどがあります。一日三回服用は一日三食という生活パターンにあっていて、飲み忘れを防ぎやすい事などで多くの薬が一日三回の服用となっています。そのほか、一日四回服用では、化学療法剤の服用パターンで6時間ごとの服用や、消化性潰瘍治療薬は一日三回の食後と就寝前といったものがあります。そして、一日服用して次の日は休むといった隔日服用や、一週間のうち2~3回服用する利尿剤やビタミンD剤といった薬があります。 外用剤は、皮膚や粘膜など体の表面に使用して、皮膚・粘膜の病気を治療するもので、坐薬・軟膏剤・貼り薬などの剤型があります。外用液剤では口の中を洗ううがい薬は一日3~5回の回数となります。噴霧剤、エアロゾル剤は一日1~数回のものが多く、使用前によく振って容器の中の薬をよく混ぜて使用してください。貼付剤は皮膚に貼る薬で、抗炎症剤や強心症などに使われます。用法は一日1~2回のものが多く、貼るときは布などで拭くなどしてよく皮膚を乾燥させて貼ってください。坐剤は肛門に挿入して使う薬で、抗炎症剤・解熱鎮痛剤などがあります。解熱作用の目的で坐薬を使うときは、使用間隔を短くすると急に熱を下げてショックを起こすことがありますので、4時間以上の間隔をあけて使用してください。そのほか薬の服用方法はいろいろとありますが、薬を正しく服用したり使用したりすることが薬の効果を最大限に発揮してくれます。 |
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