農家の皆様へ

「うつ病について」
2011年2月18日放送
双葉厚生病院
精神科 藤森 春生

 みなさんおはようございます。双葉厚生病院精神科医師の藤森春生と申します。今日はうつ病についてのお話をさせていただこうと思います。参考にしていただき、これからのみなさんの生活に役立てていただければと思います。

≪うつ病の症状について≫
 「最近、なんとなく気分やからだの不調が続いている‥」
 そんな変化を、「気のせいだろう‥」、「そのうち治るだろう‥」と、簡単に片付けてしまうことは多いかと思います。うつ病は、生活の中に、そんなちょっとした変化として現れてくることがあります。

 初めに、うつ病の症状のチェックリストを挙げてみようかと思います。よろしければ、チェックしてみてください。

1.憂うつな気分または沈んだ気持ちがする。
2.何ごとにも興味がわかない、いつも楽しめていたことが楽しめない。
 この1、2のどちらかに思い当たる方、次にお話する7つの項目がいつかある場合、また1ヵ月以上毎日のように続いている場合はうつ病の可能性はあるかと思います。
  
 7つの項目です。
a.食欲の増減または体重の増減があった。
b.睡眠に問題がある(寝つきが悪い、真夜中や早朝に目覚める、寝過ぎるなど)。
c.話し方や動作が鈍くなり、いらいらしたり落着きがない。
d.疲れを感じたり、気力がないと感じる。
e.自分に価値がないと感じたり、罪の意識を感じる。
f.集中したり決断することが難しい。
g.生きていたくないと思う。
 
 いかがでしたでしょうか?これに当てはまる項目が多い方は、ぜひ一度医師に相談しにきてみてください。

 「こころ」の不調は、「からだ」にも影響します。そのため、うつ病では「こころ」と「からだ」の両方に症状が現れることがあります。
 「自分はからだに何か異常があるかもしれない‥」と内科などを受診している患者さんの1割近くにうつ病がみられるといわれています。例えば、
・「最近肩こりがずっととれない、腰痛が治らない」などといろいろな病院をはしごしている
・胃腸薬をずっと服用しているのによくならない
・だるくて仕方が無いのに検査では何も異常が出ない‥
 など、こういった経験を持つ方が、実はうつ病だったというケースも少なくありません。

≪うつ病の原因について≫
 うつ病は、脳内神経伝達物質のバランスが乱れている状態ということができます。ストレスなどによって、セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の働きが悪くなり、それによってうつ病が起こるといわれています。セロトニンとノルアドレナリンは脳の中で、意欲や活力などを伝達する働きをしているため、この働きが悪くなると憂うつ感などを引き起こしてうつ病の症状があらわれるようになります。

≪うつ病の治療について≫
(1)休むこと
 まず十分な休養をとることが大切です。あなたが抱えている仕事や家事などの荷物を少しの間おろして、疲れたこころとからだを十分に休めてあげましょう。

(2) 薬を飲むこと
 うつ病の治療には、主に抗うつ薬という種類のくすりが使用されます。
抗うつ薬は、うつ病で生じる脳内神経伝達物質のバランスの乱れを修正することによって、うつ病の症状を改善します。そのため、抗うつ薬を服用すると憂うつな気分や不安感などが改善されますが、くすりによって性格が変わったりすることはありません。
 主な抗うつ薬には、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI、SNRIなどがあり、どの種類もうつ病の症状を改善します。中でもSSRIは、からだの中のうつ病に関係する部分のみにくすりが作用するため比較的副作用が少ないといわれています。

 SSRIは正式には、選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (Selective Serotonin Reuptake Inhibitor) という名称で、各単語の頭文字を取ってSSRIと名付けられています。

 うつ病は、脳内で意欲や活力を伝える働きをしているセロトニンやノルアドレナリンが減少し、これらの情報伝達がスムーズにできなくなるために憂うつ感や意欲の低下などうつ病の症状があらわれるようになります。そのため、SSRIはうつ病の原因の1つであるセロトニン系に作用して、神経終末で減少しているセロトニンをある程度増やすように調整することでうつ状態を改善する効果を持ちます。

(3) 認知療法
 認知とは、ものの考え方や受け取り方のことです。
 人間は、何か出来事や外部の刺激があった時、それがダイレクトに感情や行動につながるわけではありません。出来事や外部の刺激を、その人がどのように考えるか、受け取るかによって現れる感情や行動が変わってくるのです。

 健康な状態の人は、それまでの経験や知識などを頼りに柔軟に物事を捉えることができます。また、それぞれの状況に応じて瞬時に判断し、適応的に行動することができます。
 それが、うつ状態になると、考え方が悲観的、否定的になってしまうのです。考え方に柔軟性がなくなり、物事を悪い方にばかりとらえてしまいます。そして、偏った解決法や見方にとらわれてしまうようになります。
 つまり、うつ状態の人には、歪んだ物事の捉え方、「認知の歪み」が見られるようになるということです。
 うつ病の認知療法では、そのような「認知の歪み」を指摘し、それを柔軟に変化させていくことによって、気分の改善を図ったり、社会への適応性を高めていきます。
 現実に目を向けさせて、具体的に問題を考えていく態度を身につけるように指導していきます。
 方法としては、患者さんの悲観的、否定的な考え方について、自問自答してもらいます。なんでそう考えたのかの根拠をさがしてもらったり、結論に至った道筋を考え直してもらったり、別の考え方を探してもらうよう指導します。うつ病の人の心に生じた「認知の歪み」を、反論するような形で指導を行い、思考の流れを修正していくのです。

≪うつ病の方の家族などのかかわり方について≫
 家族や友人、会社の同僚がうつ病で悩んでいるみたいだけど、どんなふうに力になってあげればいいかわからない‥、うつ病患者さんの周囲の方からのこんな声をよく聞きます。

 普通の怪我や病気と違って、うつ病では傷口が目にみえません。そのため、患者さんの苦しさやつらさが周囲の人には理解しにくいことがあります。 周囲の方のうつ病への理解が、うつ病の患者さんの大きな支えになります。

 頑張りたくても頑張れないうつ病患者さんにとって、「頑張って」などという励ましの言葉は逆効果です。
 また、夕食のメニューなどの生活の小さなことでも、考えや決断を求めることはなるべく避けましょう。「仕事を辞めるかどうか」というような、重要な決定は先のばしにさせてあげましょう。
 外出や運動を無理にすすめず、とにかくゆっくり休ませましょう。
 家事などの日常生活上の負担を減らしてあげてください。
 医師に、より多くの情報を正確に伝えるために、できるだけ病医院に付き添って、受診に同席してあげてください。

~うつ病については以上になります。みなさんの生活のお手伝いになれば幸いです。
御清聴ありがとうございました。~

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