吸入剤について
2011年10月21日放送
坂下厚生総合病院
薬剤科 小林義春

 みなさんおはようございます。私は坂下厚生総合病院薬剤科の小林義春と申します。本日は喘息治療のための吸入剤についてお話したいと思います。さて、気管支喘息でお亡くなられた方は1995年の7500人から2010年には2063人と減少してきています。
 これは吸入ステロイド剤という薬が普及してきたということも一因といわれています。鼻から肺までの空気の通り道を気道といいますが、気管支喘息はこの気道が炎症を起こして狭くなり、呼吸がしにくくなる病気です。喘息の患者さんは炎症により気道の粘膜が腫れ、痰が増えてきます。また、気道の炎症を修復するために分泌物が多くなります。気道が腫れ炎症を繰り返すと気道そのものが固くなり薬が全く効かない状態になります。これをリモデリングといいます。喘息の患者さんは軽症であっても発作の時は気管支がギュツと閉じてしまいますので、狭くなった気道に痰が詰まったりすると空気が全く通らないで喘息死という事態を招きます。つまり軽症、重症にかかわらず発作を起こした時には空気の通りが悪くなりますのできわめて危険です。
 さて、喘息治療の基本はコントロ-ラ-とリリバ-の組み合わせです。喘息治療はまずコントロ-ルすることです。コントロ-ラ-とは発作を起こさない様に毎日使用する長期管理薬のことをいいます。これは気道の炎症を抑え、気管支を長時間拡げることにより発作のない状態を維持します。症状や発作がなくなっても毎日規則正しく使用することが大切です。このコントロ-ラ-には吸入ステロイド薬と長時間作用型吸入気管支拡張薬があります。一方、リリバ-とは発作を止める治療薬で、発作を速やかに鎮めるために症状がある時だけ使用する速効性吸入気管支拡張薬です。この様な喘息特有の発作は夜間時や早朝に多いのですが、気管支拡張薬の吸入で喘息の症状が消えてしまうので大丈夫と思い込み、この薬にだけ頼ってしまう危険があります。医師の指示通り長期間しっかりとコントロ-ラ-を使用すると通常の気道に回復する可能性が高くなりますが、少し良くなり、やめてしまうと元の炎症が残った状態になりますので、軽症であってもコントロ-ラ-により継続することが大切です。最近、繁用されるようになった吸入薬の長所は経口薬と比較して、肺局所に作用し、少量で効果があるので、使用量が少なくてすみ全身性の副作用が少ない点です。一方、経口ステロイド薬とは口から飲むステロイド薬でが、この薬は全身に作用し吸入薬と比較すると、使用量も多くなり全身性の副作用をおこすことがあります。
 老人の方で吸入ステロイド薬の使用がめんどうなので錠剤の方が良いと言う方もいますが、全身性の副作用を考えると全身的影響が少ない吸入剤の方が安全です。定量噴霧型エアゾールの吸入方法を説明いたします。定量噴霧型エアゾールは始めにキャップをはずし、薬によっては容器をよく振って下さい。吸入する前に息を吐くと吸い易くなります。エアゾールは吸入のタイミング調整がややむずかしいです。ス-と吸いながらある時点で吸入器をシュと押してス-と吸うのがコツです。
 初めての方は吸入補助器を使って頂いた方が間違いなく吸えると思います。吸入のコツはくれぐれもゆっくり吸うことです。また、吸入ステロイド剤は吸入後、必ずうがいをして下さい。うがいをするのは吸入ステロイド薬が口の中に残り、放置すると口腔カンジタが発生することを予防する為です。吸入後10秒間息を止めると肺への沈着率が良くなり薬が良く効きます。ただ、10秒間は長いと思いますので最低5秒間は息をこらえて下さい。次にドライパウダ-型吸入薬について説明します。ドライパウダ-型吸入薬とは容器の中に詰め込まれた粉末の薬を吸う形式のものです。ドライパウダ-型吸入薬にはディスカス、タ-ビュヘラ-、ディスクヘラ-等があります。ディスカスとは円盤型の吸入器です。ディスカスの使用方法は、最初に軽く息を吐いてから吸入器を水平に保ち、容器の中のパウダ-を落とさない様にしてマウスピ-スを軽くくわえて早く吸います。息を吐く時、吸入器に向いて吐かないで下さい。パウダ-はエアゾールと違って早く吸うことが大切です。これは早く吸わないと薬が気道の奥へ入っていかないからです。筒型になっているドライパウダ-型タービュヘイラ-も同様です。ドライパウダ-型ディスクヘラ-は90度にしてディスクに穴をあけ、パウダ-がこぼれない様に水平に保ち早く吸います。パウダ-の場合はある程度吸う力が必要です。吸う力がない場合にはエアゾ-ル剤へと変えた方が良いと思いますので医師または薬剤師にご相談ください。吸う力についてはディスカス、タ-ビュヘラ-は吸入速度が30L/分が必要です。これは一般的にストロ-でジュ-スを飲む程度の力です。ディスクヘラ-は60L/分です。これはそば、うどんをすする程度の力です。吸入剤は吸入してはじめて期待する効果がでてきますので正しく吸入し継続して下さい。くれぐれも喘息の症状がない時でも自己判断で薬を中断しないようお願いします。この為、薬剤師も喘息患者さんへ吸入の仕方をご説明致しますのでどうぞご相談ください。

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