震災から9カ月が経過して
2011年12月16日放送
塙厚生病院
臨床心理士 佐々木 愛

 みなさんおはようございます。寒い毎日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?私は、塙厚生病院の心療科で臨床心理士をしております、佐々木と申します。
 今回は、震災によるストレスについてお話しさせていただきます。今年の3月11日の東日本大震災から9カ月が過ぎました。時間の経過とともに生活は大分しやすくなりましたが、あの日に感じた恐怖や不安はすぐには癒えるものではないでしょう。
 余震がきたり、震災のことを思い出したりすると、「眠れなくなる」、「めまいがする」、「イライラして落ち着かない」、「怒りっぽくなる」といったストレス反応がみられるかもしれません。
 このストレス反応は時間の経過とともに変化していきます。
 そしてこの変化は、1、急性期、2、反応期、3、修復期、4、復興期といった四つの時期に分けられるといわれています。
 ただしこの経過の順番はあくまで目安であって、このとおりに進むわけではありません。被災の程度やその人の特性にもよります。では、そのストレス反応は、どのように変化していくのでしょうか?


○最初に一つ目の急性期ついてです。急性期は災害直後から数日までのことです。
 災害の直後はその衝撃に圧倒されて、身体や思考、感情、行動にも影響が現れます。例えば、心拍数や血圧が上昇し、呼吸が速くなります。物事を合理的に考えることができなくなり、集中力、記憶力も低下します。また茫然自失状態に陥り、不安や恐怖が強く、怒りと悲しみで一杯になることもあります。行動にはまとまりがなくなり、イライラしやすく、コミュニケーションが上手にとれなくなります。


○つぎに二つ目の反応期についてです。反応期は災害後1週間から6週間までのことです。
 まず体には頭痛や腰痛が現れやすく、悪夢を見たり、睡眠のバランスが崩れます。この時期は自分の置かれた辛い状況がわかってくるなどして、抑えていた感情が湧き出してくる時期でもあります。ただこれは無力感の克服につながる心のはたらきでもあります。決して悪いことではありません。行動の面では、アルコール摂取量の増加がみられたりします。


○そして三つ目の修復期についてです。修復期は災害後1ヶ月から半年までです
 反応期にみられた頭痛や腰痛などの身体の不調は減少してきます。気持ちも少しずつおさまり、日常への関心や将来への見通しに目を向けていけるようになります。落ち込みや悲しみ、不安といった混乱した感情が徐々に修復され始める時期です。行動の面では災害を思い出す話題や被災した現場を避けたりもします。

○最後に四つ目の復興期についてです。復興期は災害後約半年以降のことを指します
 震災から9ヶ月が経過した現在は、この復興期にあたる時期かもしれません。震災後は、思考や感情が停止状態になったかもしれませんが、現在はからだの緊張もほぐれて、気持ちが落ち着き、日常生活や将来のことを冷静に考えられるようになってきた方も多いかと思われます。


 しかし、今回の震災は、原発事故や頻発する余震もあり、ストレス反応は長引くといわれています。災害によるストレスを感じたときのポイントは、十分な休養、適度な運動、家族や周囲の人が声をかけあうこと、信頼できる人に思いを話すことが重要だと専門家は言っています。日々の生活に意識してとりいれていきましょう。


 それでもなかなか調子が改善しないときは、医療機関を受診することをおすすめいたします。以下のような症状が2週間以上続いていたら、うつ病の可能性が考えられます。
 具体的な症状としましては、
 ・ 物事の悪い面を見て、くよくよ悩む
 ・ ちょっとしたことでも涙ぐんでしまう
 ・ おいしいものでも食べたいと思えない
 ・ 寝付けなくて、夜中や朝方に目が覚める
 ・ 何かやろうという気力が起きない
 ・ 自分を「ダメなやつだ」と思う。
 ・ 「自分なんか、この世から消えてしまったほうがいい」と思う・・・が挙げられます。

 特に、「自分は消えてしまったほうがいい」と思っている場合は、深刻ですので、早めにお近くの医療機関を受診しましょう。
 こちら塙厚生病院の心療科は、月~金曜日、第二、第四土曜日と業務にあたっておりますので、どうぞお気軽に受診してください。詳しい時間は病院にお問い合わせいただければと思います。医師から現在、自分がどんな状態にあるのか説明を受けるだけでも、少しは気持ちが楽になるかもしれません。
 それでは、農家のみなさん、今日もさわやかな一日をおすごしください。

健康アドバイス

 

Google

WWW 検索 サイト内 検索