以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

「双葉・鹿島そして未来へ」について
2012年4月20日放送
JA福島厚生連
健康福祉課 猪俣 徳雄

 おはよう、ございます
JA福島厚生連業務部広報担当の猪俣徳雄です
厚生連はこのたび、東日本大震災の記録集「双葉・鹿島そして未来へ」を制作しましたので、ご紹介したいと思います。
 昨年3月11日の東日本大震災により、双葉厚生病院は建物と医療機器に大きな被害を受け、その後、原発事故による避難指示を受け、患者をヘリコプターやバスで避難所へ移送。 さらに避難所から白河厚生総合病院他17医療機関へ搬送しました。
 現在も休業を余儀なくされています。
 鹿島厚生病院は物資の補給が停滞し一時診療を休止し、避難指示を受け患者を坂下厚生総合病院他3つの医療機関へ搬送しました。併設の介護老人保健施設厚寿苑の利用者も3施設へ搬送しました。
 東京電力福島第一原子力発電所から4kmに位置する双葉厚生病院と33kmの鹿島厚生病院、介護老人保健施設厚寿苑のスタッフの中から50名が震災発生直後に何を思い、どう行動したかをそれぞれ記録集として残しておくことが重要であると考え、
 昨年9月に「記録集編集プロジェクト」を立ち上げ 全体会議を4回、委員による会議を精力的に開催し完成させました。
 発刊刊にあたって永瀬理事長の挨拶と双葉厚生病院院長重富先生の記録、森合常務の編集後記を抜粋して紹介します

永瀬理事長挨拶、抜粋
 事故発生時 職員は自分自身の危険を感じながら家族の安否を確認する間もなく、救急の対応に追われた。職員一人ひとりが、医療人として使命感をもって「患者の生命の安全」を第一に行動した。患者の避難・移送・受け入れは厚生連病院間や県内医療機関の協力で乗り越えることができた。
「3・11その時、何が起こり、どんな思いでどう行動したか」震災に直面した職員の思いや行動を記録にとどめるため記録集を取りまとめた、記録集の編集は、今後の災害対策に生かすためにも、また厚生連の歴史を語り継ぐためにも被災したわれわれの責務である。この記録集が広く読まれ何がしかの役にたてば幸いである

双葉厚生病院院長重富先生の記録 抜粋
 3月11日18時に全職員を招集し、診療を継続する上での問題点などを協議しました。この混乱の中、加藤副院長の執刀で帝王切開手術が行われ女の子が誕生しています。
 余震が続く中、震災発生から翌朝まで56名の救急患者を治療し、重症患者4名は、新潟班のDMATにより福島医大に搬送されました。
 3月12日午前6時過ぎ、防護服を着た警察官が患者と職員を避難させるように勧告しました。なぜ避難が必要なのか詳細な説明はありませんでしたが、説明する顔は真剣でした。
 避難が始まり、13時30分過ぎには自分で歩くことが出来る患者のバス避難が完了しました。病院内には職員56名と寝たきり患者40名が残っていました。 周りを見ると、人影はなく自衛隊も警察もどこかに消えてしまいました。そのとき、福島県災害対策本部から電話が入り、「双葉厚生病院は孤立している。原発事故は極めて深刻である、救援ヘリを派遣する。すみやかに双葉を脱出せよ。」ほどなく自衛隊車両が病院に到着し、ヘリコプターが着陸する双葉高校のグランドに移動することになったのです。
 15時36分、福島第一原子力発電所1号機で水素爆発が起こり、建屋が吹き飛びました。自衛隊の指示にしたがって双葉高校へ移動を急ぎ、重症患者からヘリコプターに搬送し双葉を脱出しました。
 先のヘリで飛び立った人たちは二本松の男女共生センターに避難していましたが、最後のヘリに乗る予定だった職員9名と数名の患者さんは迎えが来ず、双葉高校で救援を待つことになり、自衛隊が見守る中で一晩すごしました。
 実は、この震災で産休中の職員1名が津波の犠牲になっています。言葉もありません。ご冥福をお祈りいたします。

森合常務の編集後記 抜粋
 本県では原発事故による放射能汚染の問題が大きく立ちはだかり、進むどころか後退しているようにも思えてならない。特に農産物の問題は大きく原発事故周辺にとどまらず福島県全体に影響している
 しかし、私たちは福島県に生まれ育ち、これからも大好きな福島県で生きたいと思っている。
 未来のため一歩ずつでも良いから前に進んでいかなければならない。この記録集は決して後ろ向きでなく未来へのメッセージでもあることを申し上げたい。

 以上 三名の抜粋でした。
なお、この記録集についてのお問い合わせはJA福島厚生連総務部までご連絡下さい。
 最後になりましたが、JA福島厚生連はこれからも地域の医療と福祉に貢献して参ります。