「目と老化」
2012年5月22日放送
白河厚生総合病院
眼科 荒木 聡

 皆さん、おはようございます。
 吹く風も一段と爽やかになり、木々の緑もとても生き生きとしている、今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?
 眼科医の荒木聡と申します。今日は、「眼と老化」について話してみたいと思います。
 皆さんにイメージしやすいように、眼をアナログのカメラに例えて話していきます。現在はデジタルカメラの時代で逆にイメージしにくい部分もあるかとは思いますが、ご容赦ください。
 では、始めたいと思います。
 まずは一つ目の病気、眼瞼下垂です。写真を撮る時に、カメラのレンズにキャップがしてあったら…もちろん、写真は撮れません。キャップを外してカメラの中に光を通さなければなりません。
このキャップの役割をしているのが、瞼です。瞼は眼球を守ったり、時には眼に入る光の量を調節したりする大切な組織です。ところが、年齢とともに眼瞼挙筋という上の瞼を上げる筋の能力が衰えていきます。そして、瞼が下がってしまった状態を眼瞼下垂といいます。軽度であれば、整容的つまり見た目だけの問題で、生活に支障はありません。しかし、黒目の真ん中である瞳孔を塞ぐほど、瞼が下がってしまうと物が見にくくなったり、顎をあげて見るようになり疲れの原因になります。
 治療は、手術で眼瞼挙筋を縫い縮めて、筋がより効果的に働くようにします。
 ここで一つ注意点を述べたいと思います。眼瞼下垂は怪我や動眼神経麻痺でも起こります。急におこった眼瞼下垂は老化以外の別な病気の可能性がありますので、早めに病院を受診しましょう。
 では二つ目、老視です。眼は高性能の自動焦点機能を持ったオートフォーカスカメラです。しかし、カメラが古くなりピント合わせの能力が落ち、ピントを近くに合わせようとしても合いにくい状態、これが老視です。一般的には老眼と言われています。眼の中には、水晶体というカメラのレンズの役割をしているものがあります。この水晶体の周りの筋肉が、水晶体の屈折力を自動で調節し、眼のピントを合わせています。この調節は40歳を超えた頃から働きがやや不十分となり、老視になります。もともと遠くが良く見えた眼、つまり遠視の方はより顕著に老視を自覚します。近視の方は、自然な状態で近くにピントがあっているので、老視を自覚しにくいのですが、老視にならないわけではありません。
 対処法は、遠近両用もしくは近用の眼鏡をかけることです。遠近両用のコンタクトレンズもありますので、病院で相談してみてください。
 それでは、三つ目の病気、白内障について話したいと思います。カメラのレンズが曇ってしまい、写真が綺麗に写らない状態、これは白内障という病気です。先程も話しましたが、水晶体はカメラのレンズの役割をしており、眼のフィルムである網膜まで光を通しピントをあわせる働きがあります。水晶体は年齢とともに濁っていき白内障となります。白内障になると視力が下がったり、眩しさを自覚したりします。    
 治療は手術しかありません。でも、現在の白内障手術は洗練されており、安全度の高い手術です。他に病気の無い普通の眼であれば、心配はいりません。手術をする時期の一般的な目安としては、自分の日常生活や仕事に不便を感じた時です。例えば、仕事上、車の運転をされる方は視力が0.7以上ないと免許の更新は出来ませんし、運転も危険です。視力が0.6になったら手術を検討すべきです。しかし、車を運転しない、のんびりとした生活をなさっている方なら、視力が0.6であればまだ手術をするのは早い場合が多いようです。ただ、あまりにも白内障を放置していますと、他の病気に気づかなかったり、手術をするときに危険性が高まったり、ときには水晶体起因性緑内障という眼の内圧が高くなり、眼や頭が痛くなってしまう病気を発症することもあります。適切な治療時期は医師とよく相談することが必要です。
 では四つ目の病気、加齢黄斑変性症に移りたいと思います。カメラのフィルムの役割をしているのが、眼では網膜です。網膜は光や物を感じ取るとても大事な組織です。網膜の老化で起こる病気の代表的なものに、加齢黄斑変性症があります。加齢黄斑変性症になると物が歪んで見えたり、見たい所、つまり視野の真ん中が欠けて見えなくなってしまいます。
 なかなか困難な病気ですが、最近は治療法の進歩で、視力を維持することも可能になっています。治療は、普通のレーザー治療の他に、光線力学的療法という光感受性物質とレーザーを組み合わせた治療、または血管内皮増殖因子阻害薬を眼の中に注射する治療が行われています。日常の生活では、タバコを控えることや緑黄色野菜をとることが加齢黄斑変性症の発症の予防に繋がるようです。また、ビタミンC、ビタミンE、βカロチン、亜鉛を含んだサプリメントも効果があります。医師と相談の上、内服を検討してみてください。
 以上、今日は老化に関する眼の病気を四つお話しいたしました。人間は、耳から音、鼻からにおいなど、様々な情報を感覚器官で得ますが、眼から得る視覚情報は、どの感覚器官から得る情報よりも多く、また、必要不可欠だと思います。これからも眼を大切に、何か異常を感じたら医療機関をすぐに受診してください。皆様の眼がいつまでも健康であることを祈って、今日の話しを終わりたいと思います。

健康アドバイス

 

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