夏バテを予防する水分と食事のとり方
2012年7月20日放送
坂下厚生総合病院
栄養科 遠藤利江子

 皆様、おはようございます。私は、坂下厚生総合病院 栄養科の遠藤利江子と申します。
 今回は、「夏バテを予防する水分と食事のとり方」についてお話します。宜しくお願い致します。

 夏になると、「何となくだるい」「食欲がない」「ぼんやりとする」などと感じる人は少なくないと思います。
 夏バテは、特別な痛みや重大な症状が少ないことから、そのまま毎日を過ごしがちです。しかし、高齢者や幼児にとって夏バテは非常に危険です。
 夏の暑さは体力を激しく消耗し、その上、食欲が低下するために栄養補給も滞ります。進行すれば、脱水症や熱中症になることも少なくありません。
 皆様もご存じの通り、この時期になると熱中症で倒れたニュースがよく聞かれますが、平成22年度の夏は記録的な猛暑で1718人の方が亡くなりました。その8割が65歳以上の高齢者で、自宅の庭や畑での死亡例が目立っています。
 夏の暑さを軽く考えないで、しっかりと夏バテ予防に取り組みましょう。

 夏バテの原因は、大きく分けて3つのポイントがあります。
★まず1つ目は水分不足です。
 高齢者の方に水分補給について尋ねると、「汗をかいてないから…」「トイレに何度もいくのがね…」などよく耳にします。水分を摂ることでトイレの回数が増えてしまい、つらいというのです。さらに高齢になると喉の渇きを感じにくくなるため、水分補給を積極的に行っていない現状があります。ですが実際は、じっとしていても汗や呼吸、尿や便で1日2500mlの水分が失われているのです。
 最近テレビなどでもよく取り上げられている脳梗塞の発症については、夏場に一番多いといといわれていますが、それは水分が体から不足することで血液がドロドロになり、血管が詰まりやすくなるからです。
★2つ目に食欲低下があります。
 夏の暑さは食欲を低下させ、食事をぬいたり、冷たいソーメンなどだけで済ましてしまいがちです。炭水化物のみの偏った食事は「ビタミンB1」の働きが追いつかず、エネルギーになりません。しっかり食事を摂ったつもりでも、体のだるさや疲労感を引き起こし、これが夏バテの原因になります。
 また、水分ばかりを大量に摂りすぎると、胃液が薄まり更に食欲が低下します。しかも胃腸の働きが衰えて下痢や便秘を起こしやすくします。
★3つ目は自律神経の失調です。
 体温を調節しているのは、自律神経の働きによるものです。高齢になると自律神経の働きが鈍くなり、夏の暑さを感じにくくなってきます。炎天下での長時間の作業は大変危険です。
 また、省エネにより少し緩和されてきましたが、若い方に多いのが職場や自宅、車での冷房による室内温度と、夏の外気の温度差に体温の調節機能が対応しきれなくなり、自律神経失調症を引き起こします。室内外の温度差は5℃までにしておきましょう。

 それでは、夏バテを予防する水分と食事のとり方についてお話します。
★まずは水分のとり方です。
 水分は、小さなコップ1杯をこまめにとることが大切です。
 最低でも、朝起きた時、3度の食事の時、10時、3時、寝る前など7~8回飲めば1日に1,000~1,500mlの水分が補給できます。農作業の前後も必ず水分補給をしましょう。
 水分は水や麦茶、ほうじ茶などカフェインの含まれていない飲み物が適しています。
 コーヒーやビールなどは利尿作用があるので、逆に水分不足になってしまいます。
 ですから、アルコールを大量に飲んでお風呂に長時間入るのはとても危険です。
 また、大量に汗をかいた時やひどくのどが渇くときは、スポーツドリンクを半分に薄めてとりましょう。最近では、口から飲める点滴と称して「経口補水液」なども市販されています。
 万が一、農作業中に頭痛やめまい、吐き気、脱力感、体温の上昇、けいれんなどの症状が現れたときは、脱水症や熱中症の危険があるので、スポーツドリンクや経口補水液を常備しておくのも大切です。
★次に食事のとり方の注意点を申し上げます。
 夏の食事は量より質です。少なめでも1日3食、ご飯や麺、パンといった主食だけでなく肉や魚、大豆などのたんぱく質を主菜に、夏野菜や海草を副菜に、主食・主菜・副菜の三角バランスを意識して食事をとりましょう。例えば麺類のときは、ゆで卵や生姜、しそ、キュウリなどをトッピングするとバランスがよくなります。また、10時と3時のおやつには、果物や乳製品が適しています。菓子類やジュースなどのとり過ぎは、急激に血糖を上げ、体に負担をかけます。ジュース1缶には、なんとティースプーン20杯の砂糖が入っています。
 夏にとりたい栄養のキーワードは、「ビタミンB1」「アリシン」「ビタミンC」です。
 ビタミンB1は糖質をエネルギーに変え、疲労の回復に役立ちます。豚肉や大豆、うなぎ、ほうれん草、ゴマなどに多く含まれています。アリシンは、ビタミンB1の吸収を高め、ニンニク、ニラ、玉ネギに多く含まれます。ビタミンCは、ストレスや暑さに対する抵抗力を高め、レモンなどの柑橘類やトマト、ピーマン、オクラ、ゴーヤなどの夏野菜に多く含まれます。また、食欲を刺激する酢の酸味や、生姜、唐辛子、わさびなどの香辛料を料理に加えるのもコツです。トマトや玉ネギなどの野菜をたっぷり添えた豚肉の冷しゃぶ、ゴーヤのチャンプル、夏野菜の酢漬けなどがおすすめメニューです。

 最後に、いざというときのために家庭で作れる「経口補水液」を紹介します。
 ペットボトル500mlの水に、ボトルの蓋にすり切り3杯(20g)の砂糖と、デザートスプーンにすり切り1杯(1.5g)の塩を加えてよく混ぜ合わせます。参考にしてください。
 これから、ますます暑い夏を向えますが、決して無理せず、日ごろより水分をこまめにとってバランスのよい食事を心がけてください。ありがとうございました。

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