以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

『感染防止に役立つちょっといい話』
2012年12月21日放送
塙厚生病院
検査科 矢部美智代

 おはようございます。
 わたくしは、JA福島厚生連 塙厚生病院 感染症コントロールチームの矢部美智代と申します。
 寒い季節になりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 全国的にノロウイルスによる感染性胃腸炎が猛威を振るっております。そして、これからはインフルエンザも流行してきます。そこで、今回は『感染防止に役立つちょっといい話』感染症の予防法と消毒についてご紹介します。どうぞお付き合いください。 

 感染症は、うつさない、もらわないが基本です。感染症が伝播する経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染の3つがあります。ご存知の方もいらっしゃいますね。
では、ひとつずつ簡単にご説明します。
 まず空気感染。これは空気中に浮遊している病原体を吸い込むことによって感染します。結核やはしかがこれにあたります。

 次に飛沫感染。咳やくしゃみによって飛び出た病原体を吸入することで感染します。インフルエンザやマイコプラズマ肺炎などがそれにあたります。咳やくしゃみが飛ぶ範囲で感染がおこりますので、感染している方の近くにいればいるほど感染しやすくなります。少し離れていたほうがいいですね。

 最後は接触感染です。ノロウイルスや0-157、流行性角結膜炎などがそれにあたります。病原体と直接または間接的に接触することで感染します。手をよく洗ったり、手や指の消毒を行うことで予防できます。

 空気感染、飛沫感染、接触感染に共通する予防法は「マスクの着用・うがい・手洗い」です。あれっ!かぜやインフルエンザの予防法と同じだ!と気付いた方も多いのではないでしょうか。「簡単で確実」誰にでもできる予防法です。
 ちょっとしたコツをつかめば、さらに効果倍増です。

 感染を予防するコツですが、まずマスクを着ける時は、鼻、口、あごまでたっぷりと覆ってください。そして、こまめにうがいをしましょう。手洗いをするときは、ゆび先と爪の間も丁寧に行ってください。指と爪の隙間には、多数の細菌が潜んでいます。注意してくださいね。

 次は、消毒についてお話しましょう。家庭でできる消毒法は、主にアルコール消毒、漂白剤での消毒、煮沸消毒、日光消毒があります。数年前から 特にインフルエンザがはやる時期に、手のアルコール消毒を取り入れる家庭が増えてきました。アルコールで手を消毒するときは十分な量を取り、少なくても15秒以上時間をかけて手の隅々までよく擦り込んでください。手が乾くまで擦り込むことで効果が出ます。

 アルコール消毒は多くの微生物に効果がありますが、万能の消毒だと思っていませんか。残念ながら、アルコール消毒が効かない病原体もあります。ノロウイルスもそのひとつです。ノロウイルスによる胃腸炎が発生したときは、便や嘔吐物で汚れた衣類や、汚染される可能性がある箇所、例えば、便座や洗面所の消毒が必要です。塩素濃度が0.1%になるように薄めた塩素系漂白剤で衣類を消毒したり、便座や洗面、所の表面を拭いてください。衣類の色落ちが気になるときは、85℃以上のお湯で1分以上熱水洗濯をしてください。

 最後に0.1%塩素系漂白剤の簡単な作り方を紹介します。まず、500mlの空のペットボトルを準備してください。ペットボトルのキャップ2杯分の塩素系漂白剤をボトルに入れて、水をボトルの8分目ぐらいまで入れます。これで出来上がり。ぜひご利用ください。

 どうか 今日一日が、みなさまにとって素敵な日でありますように。

 地域のみなさまの健康をお守りする JA福島厚生連 塙厚生病院 感染コントロールチーム 矢部美智代がお届けしました。