臨床工学技士の役割について
2013年1月18日放送
坂下厚生総合病院
臨床工学技士 小木 弘

 みなさん、おはようございます。
 私は、福島厚生連・坂下厚生総合病院・臨床工学技士の小木弘と申します。
 さて皆様は、臨床工学技士という職業をご存知でしょうか? 
 今回、私たち臨床工学技士の仕事について、お話させていただきたいと思います。

 まず、臨床工学技士の、歴史についてお話します。
 医療が発達してきた1980年代、様々な医療機器が使用されるようになり、医師や看護師だけでは、それらの器械を、管理しきれないことが多く、医療機器専門の技師が必要になりました。
 そこで生命維持管理装置の操作や、保守点検を専門的に行う職業として、1987年に、厚生大臣の認定する国家資格を得た、臨床工学技士が誕生しました。
 平成21年度の集計では、免許取得者は、日本全国で合計約26000人、臨床工学技士として勤務している人数は約12800人、福島県では約300人とのことです。臨床工学技士は、医師・看護師・放射線技士・臨床検査技士などに比べ、まだ比較的新しく、働いている人数も少ない職種といえます。
 福島厚生連では白河厚生総合病院、塙厚生病院、坂下厚生総合病院に配置され、臨床工学科として、独立した部署に所属しています。

 おもな業務内容は、生命維持管理装置をはじめとする医療機器の操作と保守管理です。
 生命維持管理装置とは肺や心臓・腎臓・肝臓などの臓器の機能が低下した患者さんの、臓器機能を代行、または、補助する装置です。
 代表的なものには、皆様もご存知の人工呼吸器、人工透析装置、人工心肺装置などがあります。
 私たちの坂下厚生総合病院では、呼吸器管理業務、循環器管理業務、血液浄化管理業務に分け、それぞれの装置の操作、保守点検を主とした業務を行っています。

 それでは、代表的な人工呼吸器についてお話します。生体の肺には酸素を取り込み、炭酸ガスを排出する働きがあります。
 何らかの原因で、呼吸機能が障害され、肺での換気と、ガス交換が困難になった場合、呼吸機能を補助する装置が人工呼吸器です。呼吸機能が重度に障害された患者さんにとって、人工呼吸器は、生命を維持するためなくてはならない装置といえます。
 人工呼吸器を使用しなければならないような、重度の呼吸障害の発生は予想される場合もありますが、突然の場合もあります。私たち臨床工学技士は、急な呼吸器の使用に備え、多数ある呼吸器の所在と状態を常に確認し、いつでも使用できるように準備しています。また使用中の呼吸器が故障のないように、病室を巡視し、定期的に作動の点検を行っています。

 続いて、人工透析装置についてお話します。
 人工透析は、腎臓の機能が低下した患者さんの血液を体外に導き、透析膜により、血液をきれいにし体内に送り返す装置です。
 一般に人工腎臓とも呼ばれ体内の水分や、老廃物の除去など腎臓の機能の一部を代行します。
 人工透析を受けている患者さんは平成22年末では、日本全国で30万人と多く、病院やクリニックにおいて、日常的に行われ、数多くの臨床工学技士が活躍しています。
 代表的な医療機器である、人工呼吸器、人工透析装置についてお話しましたが、医療現場では、その他にも多くの医療機器が使用されています。残念ながら、医療機器が関係して起こる事故が、全くないとは言い切れません。
 実際、機器操作・保守点検の不備で、医療機器が正常に作動しなかった事例など報告されています。
医療機器が正常に動作しない原因の半数は、機器の問題では無く、取り扱い上の問題です。医療機器は定期的にきちんと保守点検して正しい使い方をするのが基本です。また医療機器は日々進化し、これらの医療機器を安全に使用するために、新しい知識を取り入れることも臨床工学技士の大きな役割です。

 話は変わりますが、平成23年3月11日東日本大震災が発生しました。福島県においては、地震、津波の被害と原発の被害によって多くの皆様が避難されています。避難された方々には人工透析をされている患者さんもおられました。福島厚生連において、人工透析の施行が可能であった白河厚生総合病院、塙厚生病院、坂下厚生総合病院では、多くの透析患者さんの受け入れを行い、透析治療行いました。地震発生から約2年になりますが、現在も自宅に戻れず治療されている患者さんもおられます。1日も早く帰還できるようにお祈りいたします。
 私たち臨床工学技士は、日々医療機器の操作、保守点検を行なっていますが、患者さんの命を預かるという責任がある医療の専門職です。これからも機器を通じて医療に貢献いたしたいと思っております。
本日は、朝の、貴重な時間ありがとうございました。

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