新生活がはじまって 〜ストレス対処について〜
2014年6月放送
塙厚生病院 臨床心理士
佐々木 愛

 皆さん、おはようございます。 私は、塙厚生病院で臨床心理士をしております佐々木と申します。今日は、新生活が始まって起きるストレスとその対処についてお話させていただきます。

 さて、新生活がはじまって、入学・入社、異動、転勤などで生活が大きく変化した方も多いと思います。このような環境の変化は、いわゆる“ストレス”を引き起こすといわれています。例えば、慣れない環境には人間誰しも不安や緊張を感じるもので、自分自身が思っている以上に心身ともに負担がかかっています。そのようなストレスや疲労を上手に解消できているうちはよいのですが、新しい環境に慣れようとがんばりすぎて、ストレスを必要以上に溜め込んだり、ストレスを受けていることに気づかないままでいると、自律神経のバランスが乱れて、様々な症状があらわれます。例えば、気分が落ち込む、怒りっぽくなる、涙もろくなる、無気力になるなど心の症状が出たり、動悸、頭痛、下痢や便秘、不眠など身体にも症状が出たりします。その他には、遅刻や欠勤、または食事やアルコールの量が増えるなど行動にも変化がみられることがあります。そしてこれらの心、身体、行動に現われた症状が悪化・長期化するとうつ病になるおそれや、何らかの健康障害がおきる可能性があります。
 ストレスを溜め込んで病気になってしまっては、治療費などのお金や時間がかかってしまいます。そうならないためにも、ストレスをできるだけ溜め込まないように適切なストレス対処を行うことがとても大事なことなのです。
 では、そのストレスを感じたときの対処はどうしたらいいのでしょうか?
 普段私たちが行っているものには、“問題そのものへの対処”と“気持ちへの対処”の大きく2つにわけられるといわれています。“問題そのものへの対処”は、ストレスとなるものを取り除くことを目的としています。“気持ちへの対処”は、ストレスとなるものから引き起こされた怒りや不安などを低減させることを目的としています。例えば、難しい仕事を任されたときに、思い切ってやってみることや、あるいはすぐに取り掛かるのが難しい場合には、計画を立てて少しずつやってみるということは、直接的な解決につながるため、“問題そのものへの対処”を行ったことになります。一方、難しい仕事を任せられたということから生じるプレッシャーや不安などを忘れるために、友達と遊んだり、適度にアルコールをたしなんだり、リラックスするといった行動は、気分や感情の安定につながるため、“気持ちへの対処”となります。
 このように私たちは、2つのタイプの対処方法を状況に合わせて選択し、時には組合せながら、ストレス対処を行っているのです。しかし、生活していくなかで、個人の力だけではどうにもならない問題もたくさんあります。ストレスの原因となるものの多くは、自分の力で変えることのできないものが多いため、そのような場合は、原因そのものに焦点をあてるのではなく、変えることのできることに焦点をあてることが必要だといわれています。
 それが、ライフスタイルの改善だったり、 各種のストレス対処法を積極的に行うことだったりします。まずはライフスタイルを見直して整えてみることも、ストレス対処のひとつとなります。運動、食事、睡眠、仕事、休息は生活の五本柱であり、これらは個人の心がけや努力で改善が可能になるものだといわれています。
 具体的には、一日15分でもいいので適度な運動を心がけることや、食事や睡眠を規則正しくとることをおすすめします。特に自分にとって心地よいと感じられる程度の運動は、不安を低下させることが様々な研究で証明されています。また仕事と休息のオンとオフのメリハリをつけることも大事なことです。これらのことは、週末にまとめてやるのではなく毎日の生活のなかで行うことがポイントです。そうすればその日に感じたストレスを必要以上に溜め込むことはありません。
 最後に、生活をきちんと整えていれば、気分よく一日を過ごすことができますし、大きなストレスがやってきても、その衝撃を減らしてくれる防御壁にもなってくれます。ストレスはゼロにはなりませんが、まずは日常生活のなかで自分ができることから取り組んでいけば新生活のストレスとも上手につきあえることでしょう。
 もし心や体の症状がなかなか軽くならない場合は、一人で抱えこまずに、家族、友人、同僚に相談することや病院で診察を受けることをおすすめいたします。早めに受診しておけば、早期回復が期待できますし、深刻な症状に陥らずにすみます。
それでは、ストレス対処をしながら新生活を乗り切りきっていきましょう。
 今日もさわやかな一日をお過ごしください。

健康アドバイス

 

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