『細菌性食中毒について』
2015年6月放送
高田厚生病院 検査科
石田 久敏

 おはようございます。今日は細菌性食中毒についてお話します。

 食中毒とは、食品を食べた時に、その食品に有害な菌が増殖していた時や、有害な物質が含まれていた時に、嘔吐、腹痛、下痢などの症状を起こすことを言います。

 食中毒を起こす原因には、細菌性・ウイルス性・毒キノコなどによる食中毒がありますが、6月〜8月の夏場には細菌性食中毒が多発します。

 その理由には、細菌の多くは約20℃くらいの室温で活発に増殖し始め、人間や動物の体温くらいの温度で、増殖のスピードが最も速くなります。また、細菌の多くは湿気を好むため、気温と湿度が高くなる梅雨時に細菌性食中毒が増え始めるからです。


 それでは、原因となる主な細菌についてお話しします。

 先ず、大腸菌です。大腸菌は通常病原性はありませんが、人に対して病原性がある大腸菌を病原大腸菌といい、5つのタイプに分類されます。

 その1つの腸管出血性大腸菌はO157などで知られていますが、牛などの家畜の腸管内に保菌されている場合があり、これらの糞便に汚染された食肉から二次汚染により、あらゆる食品が原因となる可能性があります。予防として、食肉は中心部まで十分加熱し、生野菜などはよく洗ってから食べて下さい。また、この菌は少量の菌でも感染が起こりますので、調理器具からの生食する食品への二次汚染防止、手洗い励行などが重要です。


 次はカンピロバクターです。カンピロバクターは、家畜やペットの腸管内に存在する菌で、特に鶏の保菌率が高いので鶏肉から検出されることが多いです。時々、河川水や井戸水から検出されることもあり、野鳥やペット類の保菌動物の糞便からの汚染になります。この菌は熱と乾燥に弱いので、食品は十分に加熱すると死滅します。


 次はサルモネラ菌です。サルモネラ菌は、家畜の腸管に高率に保菌され、豚肉、鶏肉及び卵などから検出されます。また最近はいろいろなペットから、サルモネラ菌が高率に検出されているので注意が必要です。この菌も熱に弱いので、通常の過熱で死滅しますが、鶏卵を原料とし十分な加熱工程のない食品が原因なる場合があります。


 次は黄色ブドウ球菌です。黄色ブドウ球菌は、エンテロトキシンという毒素を産生し食中毒を起こします。傷口の化膿巣や健康な人の喉、鼻、皮膚などからも検出されます。原因食品は、穀類特におにぎりや加工食品などです。この菌自体は熱に弱いので、加熱調理を十分にすれば死滅しますが、毒素は熱に強く100℃でも破壊されません。したがって食品に黄色ブドウ球菌を、付着し増殖させないこと、10℃以下ではエンテロトキシンが産生されないので、低温に保存することが重要です。


 次は腸炎ビブリオです。腸炎ビブリオは海水に存在し、魚介類に付着していることがありますので、これらを調理した時の、まな板などから検出されることがあります。そこから漬物やサラダなどに汚染されます。この菌は、熱に弱いので、魚介類を調理する場合は十分加熱をし、まな板は使い分けをして下さい。また、塩分を好みますが、真水には弱い菌なので、魚介類を調理前に水道水による十分な洗浄も有効です。


 次はウエルシュ菌です。ウエルシュ菌は、人や動物の腸管や土壌に存在します。この菌は芽胞というものをもっており、通常の加熱では死滅しません。また嫌気性菌なので、食品を大量に加熱調理し、釜などの中が嫌気状態になり、食品の温度が発育温度に下がったとき急激に増殖します。加熱調理後数時間から一夜経過してから発生しているので、前日調理は避けなるべく早く食べて下さい。


 最後に、食中毒予防の、3原則をお話しします。この予防は、食中毒菌により多少異なりますが、次の3原則は、すべての細菌性食中毒予防の基本となります。

 1つ目は、衛生的な環境で食品に食中毒菌を付けないことです。衛生的な環境・新鮮な原材料・清潔な調理器具・清潔な手指などが重要です。

 2つ目は、食中毒菌に増殖する時間を与えないことです。調理してから食べるまでの時間を、出来る限り短くして下さい。

 3つ目は、ほとんどの細菌は十分な加熱で死滅します。魚や肉はもちろん、野菜なども加熱して食べれば安全です。食品の中心部を、75℃で1分以上加熱することが基本となります。


 それでは、よい食生活で明るい毎日をお過ごしください。

健康アドバイス

 

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