以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

『なごみでのリハビリテーションについて』
2015年9月放送
介護老人保健施設なごみ 作業療法士
小林 隆之

 皆さん、おはようございます。
 私は介護老人保健施設なごみの作業療法士の小林と申します。
 なごみは会津地方のほぼ西部に位置する会津坂下町にある坂下厚生総合病院の併設施設になります。今回は当施設のリハビリテーションについて紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。
 当施設のリハビリテーションスタッフは理学療法士3名、作業療法士1名の計4名のスタッフが勤務しています。
 そもそも、皆さんは理学療法士、作業療法士という職業をご存知ですか?それぞれ名前くらいは聞いたことがあるかもしれませんが、どのような違いがあるのか、具体的なことはよく分からないという方が多いのではないでしょうか?簡単ではありますが、まずは、理学療法士、作業療法士についてお話ししたいと思います。
 理学療法士は、起き上がる、座る、立つ、歩く等の日常生活で必要な基本動作が出来るように身体の機能回復及び障害の悪化の予防をサポートします。関節運動や筋力トレーニングといった運動療法や患部を温めたり冷やしたり電気刺激を与えたりする物理療法等、さまざまな方法で、機能回復に向けてアプローチをしています。
 作業療法士は、手を動かす、食事をする、入浴をする、着替えをする等日常生活を送る上で必要な動作や手工芸、園芸など趣味的活動、さらにレクリエーションと、ありとあらゆる作業活動を通して身体の機能回復をサポートします。さらに生き生きとした生活が送れるよう、心のリハビリテーションを行う役割も担っています。
 簡単ではありましたが、それぞれの仕事内容・役割について紹介させていただきました。
 それではここからは、私リハビリスタッフが当施設で実際に行っている「長期入所リハビリ」、「短期入所リハビリ」、「通所リハビリ」の3つのサービスなどについて紹介していきます。
 長期入所リハビリは病院退院後など、在宅での生活に不安がある方や継続したリハビリが必要な方が入所し、身体機能の回復を経て在宅復帰に至るという病院と在宅の「中間リハビリ施設」としての役割を担っています。また、身体機能面だけでなく、食事の飲み込みの面でも安全に食事が出来るよう口の周りの体操や実際の食事の飲み込みを確認し、一人一人の状態を把握して誤嚥予防に努めています。
 短期入所は短い期間のご利用ですが、長期入所と同様に機能回復または維持を目的にリハビリを行い身体機能低下の防止に努めています。
 通所については、日帰りで入浴やリハビリテーション等のサービスを受けることができるもので、「デイケア」と呼ばれています。
 デイケアでは、要支援1・2の利用者の方には介護予防としてのリハビリを提供し、定期的に体力測定を行い、状態変化等を把握し、介護を必要としない元気な身体作りをサポートしています。要介護1〜5の利用者の方も身体機能を回復または維持し、今後も安心して在宅生活が継続できるようリハビリを行っています。
 また、利用者の方だけではなく、一緒に暮らす家族の方々の介護負担を軽減させる役割も担っており介護休養を目的として利用を希望される家族の方もいらっしゃいます。
 さらに、いざ在宅復帰となると安全に生活する為の準備が必要となる場合があります。必要時には在宅復帰前の在宅訪問も行っており、福祉用具使用の必要性や手すりの設置等の改修の検討、御家族への介護指導を行い、在宅復帰へのサポートも行っています。
 このように、利用者の方へのリハビリテーションや家族の方へのサポートはもちろんですが、その他に私達リハビリスタッフは、「働きやすい職場作り」への取り組みも行っており、なごみ職員に対しても、介護の現場での職業病とも言われている腰痛に対して予防活動に取り組んでいます。その腰痛予防の一環として年間を通して短い時間で簡単にできる腰痛予防体操や、中腰姿勢になりやすく、特に腰に負担がかかりやすい車いすベッド間の乗り移りの介助方法の勉強会、利用者の方の動きや能力を評価し環境設定や介助の参考になるようリハビリカンファレンスを行う等、専門性を活かした視点でのアドバイスをしています。
 今年の4月には、介護報酬についての改定がありました。高齢者の方が住み慣れた地域で生活を継続出来るようにするため、介護、医療、生活支援、介護予防を充実させる「地域包括ケアシステム」の構築に向けた取り組みを進めるという内容です。リハビリについては、活動や社会参加に向けてのリハビリを強化し、在宅復帰支援を加速させていこうとする内容です。こうした社会の動きの変化に対応しながら、今後も当施設をご利用される皆様のニーズに合わせた適切なリハビリテーションを提供し、利用者の方、家族の方々への支援を継続して、地域に根ざした施設となれるよう邁進して参ります。