認知症の対応について
2015年12月放送
介護老人保健施設厚寿苑 副看護師長
 石田 淳子

おはようございます。介護老人保健施設厚寿苑 副看護師長 石田 淳子です。
本日は、認知症の対応についてお話したいと思います。
認知症にはいくつかの種類がありますが、主なものとして、以下の4つが挙げられます。
・アルツハイマー型認知症
・脳血管型認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症
このうち約60%はアルツハイマー型認知症が原因で、約20%は脳血管型認知症によるものとされています。一般的に認知症=アルツハイマーと認識をされる方が多いですが、それぞれ症状や適切なケアに違いがあります。


認知症の症状は、大きく2つに分けられる
 認知症の直接の原因である「脳の細胞が壊れる」ことで起こる症状を「中核症状」といい、認知症の方であれば誰しもが抱える症状のことを言います。 一方、周辺症状とは「行動・心理症状」とも言われます。最近ではBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)という略語も登場しています。認知症は本人が元々持ち合わせている性格や置かれている環境が大きく作用し、症状もある程度分類は出来ますが複数の症状が重複する方もおられる為多様化します。人によって症状が異なるので、全く同じ症状の方は居ないと言っても過言ではないのです。


互いの心が通い合う介護・介助の心構え
 認知症のお年寄りの介護は、毎日続く長期戦です。介護する側もされる側も無理なく明るい気持ちでいられるようにするには、どのような点に気をつけるとよいでしょうか?


信頼関係を大切にする
 完璧をめざそうとするとかえって疲れてしまいます。まずは肩のカを抜いて、多少の失敗があっても、お年寄りとの信頼関係をこわさなければそれでよいと割り切りましょう。
 どんなときでも介護者は味方なのだと態度で示すようにしていれば、お年寄りは安心し、介護者を信頼します。
 お年寄りが安心し、精神的に安定していれば、症状の増悪も少なくなって介護しやすくなります。


お年寄りを不安にさせない
 お年寄りが失敗をしたときにきつくしかったり、予定どおりに物事を進められないときに介護者がイライラしていたりすると、お年寄りに不安感を与えます。お年寄りが精神的に不安定な状態になると、異常な言動や行動が増える心配も生じ、介護するのもたいへんです。
 不安の回避は甘やかしではありません。失敗したときは冷静に注意し、そのあと温かいフォローをしてください。「茶碗をしっかり持たないからこぼれるんですよ。ここはふいておきますから、ぬれた服は着替えましょうね」という具合です。


受け入れて歩み寄る・共感
 症状が進行するにつれ、認知症のお年寄りは、簡単なことでも理解や判断ができなくなってきます。説明は短くはっきり、わかりやすい言葉でするのが原則です。しかし、どうしてもいわれたことを理解できないなら、それを受け入れ、理解できなくても問題なく過ごせるように、周囲から変えていくことも大切です。
 たとえば、「ここは危ないから、向こうに座って」と繰り返すよりも危ない場所を片づけて安全に座れるようにしてあげるのです。介護者の歩み寄りで解決できることなら、無理のない範囲で歩み寄ってください。そのほうが介護者もお年寄りも、イライラや不安感を抑えられます。


認知症の介護・接し方のポイント
・本人の気持ちを大切にして信頼関係を結ぶ
・いきなり強くしかったり、どなったりしない
・今ある機能を大切にし、できないことをさせるよりも、できることを見つけてあげる
・無気力な状態でも、あきらめないで働きかけることで、反応が明るくなることがある
・興味を示さないことを無理に押しつけない
・説明は短く、はっきり簡単に、理解できる言葉でゆっくりと
・毎日の行動パターンを観察し、失敗しやすい行動を起こしたら早めにフォローするとよい


介護者自身が気を付けたいこと
介護者の健康管理もしっかり
 介護者も生身の人間ですから、体力には限界があります。介護者が体調不良で寝込んでしまっても、認知症のお年寄りの生活は続きます。共倒れにならないよう、介護者はふだんから自分の健康管理をしっかりしておきましょう。定期的な健康診断を受けることも大切です。
 しかし、どんなに体調に気をつけていても、ときにはかぜをひいて発熱することもあるでしょう。家族や友人、近所の人、派遣ヘルパーなど、いざというときに協力してもらえる人を確保しておきましょう。


頑張り過ぎない
 介護は毎日のことなので、介護者は大忙しですが、一人ですべてを抱え込んで、がんばりすぎないでください。
 介護に追われて精神的にいきづまってしまうと、イライラしてお年寄りに温かく接することができにくくなるので、気分転換も大切です。ときどきは協力者に介護をまかせ、ショッピングや外食などで気分転換をはかりましょう。介護者がリフレッシュして、安定した気持ちでお年寄りに接するようになると、お年寄りの気持ちも安定します。介護者のリフレッシュは必要不可欠なのだとプラスに考えましょう。


生活環境の整備のポイント
 認知症のお年寄りにとっては、普通の生活環境のなかにも危険なことがいろいろあります。危険を予測して回避する判断力が低下しているので、ふつうの人ならしないような失敗をしてけがをすることがあります。これを防ぐには、安全に配慮した生活環境の整備が必要です。


火の扱いに注意
 調理や暖房など、火気は生活に欠かせません。しかし、認知症のお年寄りに火気を使わせるのは危険です。何げない動作や手順を忘れてしまうことがあるので、調理器具や暖房器具の操作を誤ってやけどすることも少なくありません。火気を使用するときは必ず介護者が見守るようにし、喫煙するお年寄りなら一人のときはたばこやライターを与えない、仏壇のろうそくの火の管理はお年寄りまかせにしないなどのルールを決めます。空焚き防止装置のついた風呂釜や、立ち消え防止装置のついたガス器具、直接炎の出ない調理器具や暖房器具に取り替えるのも防火に役立ちます。

 皆様、よいお年をお迎えください。

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