以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

インフルエンザの薬と予防方法
2016年2月放送
坂下厚生総合病院 薬剤師
 岡 慧

 おはようございます。私は、坂下厚生総合病院、薬剤科の岡慧と申します。よろしくお願いいたします。

 今回はインフルエンザについてお話させていただきます。


 初めに、インフルエンザという病気についてお話します。インフルエンザは、インフルエンザウイルスというばい菌が体の中に入って増えることによって起こる病気です。熱が上がったり、のどが痛くなったり、咳が出たりといった風邪のような症状が出ます。普通の風邪と違う点は、さむけや関節の痛みが強く、熱も38度以上と高く、急に上がることです。また、重症化すると死に至る場合があります。


 では、インフルエンザのお薬について説明します。お薬には飲み薬、吸入薬、注射薬の3種類あります。また、5日間継続して使うお薬、1回だけ使うお薬があります。どのお薬も、体の中に入ったウイルスを、これ以上増えないようにするお薬です。症状が落ち着いてもウイルスが体の中に残っているときがあります。決められた期間、しっかり服用することが大切です。また、ウイルスがたくさん増えてしまったあとでは、効果が弱いことがあります。 関節が痛んだり、いつもより高い熱がでるなどインフルエンザが疑われるようであれば、早めに病院で診察を受けてください。 薬の使い方については、それぞれ薬ごとに違います。医師や薬剤師からお薬の説明を受け、決められた使い方を守れば、副作用などを防ぐことができ安全に使うことができます。ご相談ください。


 また、お薬でウイルスをやっつけることは、今の医療ではできません。ですから、かからないように予防することがインフルエンザで何よりも大切です。

 ウイルスは、小さくて目に見えないので、怖いと思うかもしれませんが予防はできます。

 では、予防の方法を3つお話します。


 まず1つめの予防のポイントは、外に出たら「顔にさわらない」ということです。

 インフルエンザのウイルスは、鼻と口から体の中に入ってきて、鼻の奥の部分やのどのあたりを巣にして増えていく性質があります。ウイルスは手についただけでは体の中に入ることはできません。ですから、ウイルスのついたかもしれない手で、その入り口となる鼻や口を触ることでインフルエンザにかかってしまいます。体の中にウイルスを入れないために、顔にさわらないことを意識しましょう。


 2つめの予防のポイントは、「手洗いとうがい」です。特に手洗いは重要です。

 手には見えないウイルスがついているかもしれません。手洗いをしないことで、ウイルスが家の中に入り、家族がインフルエンザにかかってしまうこともあります。誰かにうつさないためにも、手洗いは大切です。そして手洗いと手の乾燥までには時間をかけてください。目安は一分間です。手洗いの代わりにお店などの入り口にあるような消毒薬を使うことでも、手についているウイルスをやっつけることができ、予防の効果が期待できます。ただし、消毒薬はほんのすこしの量ではウイルスをやっつける事ができません。手にまんべんなく広げて、すりこむようにしてお使いください。


 3つめの予防のポイントは、「予防接種をうける」ことです。

 インフルエンザの予防接種は、インフルエンザに負けないための免疫力を体につけます。ウイルスが体の中に入ってきても、病気にならない、または症状を重くなりにくくするために行います。予防接種は、効果が出るまでに2週間ほどかかり、3、4か月効果が持続します。インフルエンザが流行する前に受けることが大切です。予防接種を受けるときの目安は、流行する1か月前です。制度や料金など、各市町村ごと、また医療機関ごとに違います。詳しくはお近くの医療機関にご相談ください。特にご高齢の方はインフルエンザによる肺炎の予防のためにも、予防接種を受けてください。ただし予防接種は、ウイルスが体の中に入ってくるのを防ぐものではありません。手洗いなどの普段からの予防が大切です。

 マスクは、インフルエンザを他の人に移さないためにも、着けたほうが良いでしょう。またウイルスがついた手でマスクを触ってしまうときもあるので、マスクを使用するときも注意が必要といえます。またできるだけ使い捨てのマスクを使用してください。


 もしも自分の家族がインフルエンザにかかった場合、気を付けることについて説明します。

 まず家族とモノを共用することは避けなければなりません。例えばタオルやコップなどの食器を共用することで、インフルエンザをうつしてしまうこともあります。トイレを使ったあとなどは、鼻などを触るまえにまず手洗いし、予防のために顔に触らない気持ちが大切です。またインフルエンザにかかった人は、なるべく違う部屋で過ごすことも家族に移さないための対策になります。またウイルスは寒くて乾燥しているところを好みます。部屋の温度や湿度をあげることも、予防になります。とくに小さな子供やご高齢の方が家族にいる場合、インフルエンザにかかってしまうと重症化する可能性があるため、予防に注意をするべきです。家族みんなが話し合い、インフルエンザを予防する意識をもつことが大切です。


 最後に、インフルエンザは自分の手が感染のもとになることが多いです。鼻や口に手で触らないことや、こまめな手洗いを大切にしてください。医師、看護師、薬剤師など医療従事者は身近な手洗いのプロです。手洗いについてご相談ください。毎年の予防接種も大切です。 もし、インフルエンザにかかってしまっても、慌てずに早めに病院を受診してください。インフルエンザの薬は、早く使ったほうが効き目があります。

 寒い時期がまだまだ続きます。おいしくごはんを食べ、しっかりと休息をとり、インフルエンザに負けない体を作りましょう。ありがとうございました。