「高齢者に多い心の病気の特徴」
2016年6月放送
高田厚生病院 精神科認定看護師
金田 恵美

 おはようございます。私は高田厚生病院に勤務しております精神科認定看護師の金田恵美と言います。皆さま、年をとると様々な病気が増えてきますが、お身体の調子はいかがでしょうか。今日は「高齢者に多い心の病気の特徴」についてお話しします。

 最初に知能の低下として、皆さまもよくご存知の認知症についてですが、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症など分類すると数多くの種類があります。認知症には、大きく分けて二つの症状があります。一つは中核症状と言って、体験した事をそっくり思い出せなかったり、時間の見当がつかなったり、判断ができなくなったりなど、怪我をしたら血が出るように必ずみられる症状です。もう一つは、周囲の人や物など環境の関わりで起こる症状で、①徘徊、暴力、妄想などの興奮状態と、②意欲や食欲がないなどの抑うつ状態が起こる周辺症状があります。周辺症状は、介護をするご家族が当事者の思いを理解し適切に対応することで改善することができます。誰の手も借りずに介護をすると負担が強く、取り返しのつかない状態になることもあります。出来る限り周りの人に助けてもらいましょう。早期から治療を行うことで当事者が「認知症になっても捨てたもんじゃないな」と思えるよう、またご家族も自分の人生を大事に生きられるよう社会全体で支えていく必要があります。

 次に感情と意欲の低下について説明します。働きざかりの大人がうつ病にかかるように、高齢になると、定年退職を迎えたことや親しい人達の死別、体力や気力の衰え、健康への不安、一人暮らしの孤独感などから、うつ病になりやすいです。統計では60歳〜70歳代の女性に目立ちますが、高齢の男性は診察に来ないだけで浮き彫りにされていないことが考えられます。年のせいや認知症と間違われたり、痛みなど身体の症状を強調するので他の病気と思い、うつ病が見逃され治療が遅れるので注意が必要です。
うつ病は①抑うつ気分で悲しみにくれる典型的な定型うつ病、②抑うつ気分に加えて強い不安やイライラなどを感じる焦燥型うつ病、③とくに原因がなくて身体のあちこちの調子が悪いという仮面うつ病(不定愁訴型)などがあります。うつ病の症状には妄想もあり、①重い病気にかかってしまった(心気妄想)、②大変な罪を犯してしまった(罪業妄想)、③お金がなくなってしまった(貧困妄想)などと物事を悪いことばかりに考えてしまいます。
こうした症状は治療をしないと寝たきりにつながり、さらなる悪循環をまねきます。また、高齢者のうつ病では、自殺率が高いことも特徴の一つです。共感的に接するようにし、一旦元気になった回復期に自殺者が多いので決して「頑張りましょう」とは言わない方が良いでしょう。緊急時は、お一人で抱え込まないで早めに診察に繋げ予防策を立てる必要があります。
当事者には家庭の役割や町内会の係などをしてもらい、周りの人はじっくり話しを聴いて手助けしていることを当事者にわかるように意識して関わると気持ちが落ち着いていきます。アロマセラピーや芸術療法、音楽療法などの集団療法は、体力や体調に問題なければ参加できると良いでしょう。心地よい刺激に触れることで脳がいきいきと活性化します。心を柔軟にし、回復力をつけることは年齢に関係なく良いことです。

 続いて、意識の低下について説明します。せん妄は、認知症と間違いやすいのですが、入院やショートステイ、引越しなどの住環境の変化などで一気に認知状態が悪化した場合は、せん妄を疑います。ねぼけの状態にたとえられ意識が低下することで幻覚や妄想などをきたし興奮してしまいます。せん妄の場合は、直接原因になっていることを可能な限り取り除くことで予防ができます。高齢者では発熱や脱水、下痢など些細な身体の原因でも容易にせん妄が出ます。疑われる原因が複数のこともあります。せん妄で混乱している時は、安心、安全に過ごすために相手の話を受け入れながらも「今」に焦点を当て、目で見てわかりやすい説明をします。会話の反応を一つずつ見ながらプライドを傷つけないように心掛けましょう。身体の状況と生活リズムを整え、対応が適切であれば一過性ですぐに回復することが多いのも特徴の一つです。

 最後に高田厚生病院の「出前講座」と「認知症家族教室」についてご案内させていただきます。高田厚生病院では地域住民の皆さんに病院をもっと身近に感じとれるように顔の見える関係を築き、健康や医療に関心を持って健康づくりに取り組めるように病院職員が皆さんのもとへお伺いして出前講座を実施することになりました。皆さんの健康寿命が1日でも長く続くようなお手伝いができる講座となれば幸いです。また、認知症にやさしい町づくりを目指して美里町の行政と協力しながら認知症家族教室を行っております。参加することで、認知症の具体的な話が聞けたり、息抜きになってホッとしたり、参加者の経験談が心に残ったりなどの体験ができます。ご家族にも当事者にもやさしい介護を学んでみませんか。内容などお気軽にお問い合わせください。

JA高田厚生病院
TEL:0242-54-2211 FAX:0242-54-6709


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