以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

がん検診について
2017年3月放送
農村健診センター 事務長
石井 浩

皆さん、おはようございます。
 JA福島厚生連 農村健診センターです。
 今朝は私、石井が、がん検診についてお話いたします。
 農村健診センターは、巡回健診専門で県南市町村の胃がん検診、そしてJA及び企業の職員の方々の定期健診を実施しております。また、JA福島共済福祉事業団主催の健康増進活動にも協賛しております。その中でも、県南市町村の胃がん検診は38年間実施しており、胃がんの発見率向上のため、造影剤や撮影方法等について研究をしております。
 がんは日本人の死亡原因の第1位であり、年間36万人以上の方ががんで亡くなっています。死亡が多いがんは男性が肺がん、胃がん、大腸がんの順で、女性は大腸がん、肺がん、胃がんの順、そして全体では、肺がん、大腸がん、胃がんの順になっています。
 日本人の男性は、4人に一人、女性は6人に一人が、がんで死亡する危険があると言われ、40歳ころから増加しており、高齢者だけの疾患ではないのです。
 がんで死亡する危険を避けるためには、がん検診を受けることが対策になります。40歳以上の方は、肺がんの胸部X線検査、胃がんのバリウムX線検査か胃カメラ検査、そして大腸がんの便潜血検査、この3つは年1回受けておきたい検査です。また、女性については、乳がんになる方が最も多いですのでⅩ線によるマンモグラフィー検査も受けておきたい検査です。健診はがんを発見する最初の段階の検査ですので、もし、精密検査が必要とされた場合は、必ず医療機関で詳しい検査を受けてください。
 近年がん検診で最も注目されているのが、PETがん検診です。PET検査の特徴は、一回の検査でほぼ全身の検査が出来るということです。また、私も実際にこのPET検査を受けましたが、苦痛もほとんどなく、2時間ぐらいで検査が終了します。PET検査は、がんの早期診断、転移、再発の診断に有用です。
 がんは早期発見が肝心であり、転移を起こさない早い時期に発見し、適切な治療をすれば、多くの場合は治すことが出来ます。
 白河厚生総合病院には、PET検査とCT検査を同時に行うPET−CT検査装置を整備しております。これにより、より早く、より正確に小さな病巣を発見することが可能になりました。今迄に9000人以上の方々に検査していただいております。がんではなかった方には大きな安心を、早期に発見した方には適切な治療を提供することが出来ました。
 只今、白河厚生総合病院では、通常の料金の半額以下で多くの皆様にご利用いただけるPET健診として、福島県民コースや農家組合員を対象としたJAふくしま復興コースを新聞やJAをとおしてご案内しております。PETがん検診に関する申込、お問い合わせは、白河厚生総合病院PET画像診断センター電話番号0248−22−2282、月曜日から金曜日の8時30分から17時の間にお電話をお願いいたします。
 それでは、なぜがんになるのでしょう。
 胃がんについては、喫煙や食生活、ヘリコバクターピロリ菌の持続感染がリスクを高めると言われています。食生活については塩分の過剰摂取や野菜摂取などのビタミン不足が挙げられます。ヘリコバクターピロリ菌は、中高年で感染率が高く、若年層では低くなってきているようです。ヘリコバクターピロリ菌に感染した人のすべてが胃がんになるわけではありませんが、現在、除菌療法が胃がんになるリスクを低くするという研究結果が積み重ねられているようです。それから原因として挙げられるものに、喫煙があります。胃の粘膜を刺激して胃がんの原因をつくり出すとも言われており、吸わない人の1.6倍のリスクがあります。胃がんのリスクを下げるには、禁煙、減塩、ビタミン摂取、ピロリ菌感染は除菌が大切です。胃の痛み、胸やけなどの症状に応じて胃薬を飲んで様子を見るよりも、まずは医療機関を受診して検査を受けることが大切です。
 次に肺がんについては、喫煙こそ最大の原因と言われております。喫煙者の肺がんリスクは、欧米では非喫煙者の20倍以上とされており、また、受動喫煙については、受動喫煙の無い人に比べて20〜30%程度高くなると推計されております。今国会で受動喫煙防止策として健康増進法改正案の提出を目指しているところでもあります。
 次に大腸がんですが、これは飲酒や肥満そして食生活の欧米化です。食生活では牛や豚などの赤肉、そしてベーコンやハム等の加工肉の摂取が増えてきているためで、運動により大腸がんのリスクが下がるようです。大腸がんは早期に発見できれば治癒率が高く、年1回は検査を受けておきたいです。
 最後に乳がんについては、女性ホルモンの一種エストロゲンが関わっており、この濃度が維持されている期間が長いほどリスクがあるようです。具体的には初潮が早いことや閉経が遅いこと、それと妊娠出産経験の無い方です。また、飲酒習慣や喫煙もリスクがあるようです。閉経後の女性は、運動によりリスクが減少するようです。
 毎日の食事・生活習慣・運動に気を使い、健康で楽しい毎日を過ごすために定期的に検診を受けることをお勧めします。
 今朝は、JA福島厚生連農村健診センターから、がん検診のお話でした。