大腸がん検診について |
2018年3月放送 農村健診センター 高信 嘉孝 |
皆さん、おはようございます。JA福島厚生連 農村健診センター 臨床検査技師の高信が担当いたします。 本日は、大腸がん検診についてお話をさせていただきます。 大腸の全長は約2メートルで、大きく結腸、直腸と肛門の3つに分類されます。食べ物は、小腸から大腸に入ると、まず盲腸を通り、結腸から直腸へ下り肛門から便として排出されます。大腸がんの死亡数は、食の欧米化により増加傾向にあり、今後も増加すると予想されています。 近年、女性では死亡数のトップとなっています。事実、大腸がんは40歳以上で急増し、早期発見・治療をすれば90%が完治します。早期に発見して治療すればほぼ治癒が可能のがんです。 まず、自覚症状がなくても検診を受けましょう。早期の大腸がんは、ほとんど自覚症状を感じることはありませんが、症状を感じてから病院で見つかるのは、進行がんになっていることが多いので、早めに定期的な検診を受けることが大切です。まずは気軽に便潜血検査で検診をスタートしましょう。大腸がん検診である便潜血検査は、便の中に含まれる大腸がんやポリープから出血した目に見えない微量な血液を検出します。食事制限もなく自宅で少量の便をとるだけの手軽な検査です。便潜血検査を毎年受けることで、大腸がんによる死亡が60%以上低くなることが、厚生労働省「がん検診の有効性評価に関する研究班」でも報告されています。 大腸がん検診には、市区町村や企業で行われる集団検診と、個人が希望して受診する個人検診(人間ドック・自費検診)の2種類があります。受診を希望される方は、各検診受付窓口までお問い合わせください。大腸がん検診では便潜血検査を行い、陽性と判定された場合、より詳しく調べる精密検査を行います。陰性と判定された場合、精密検査は行われませんので、1年後にまた大腸がん検診を受けましょう。 検査では、便を専用の容器にとって提出します。そのとき大切なポイントがあります。大腸にがんやポリープがある場合、便が出てくる時に擦られて血液が付きますので、まんべんなくいろんな所を擦り取ります。 また、大腸の中では正常な人でもごくわずかに出血することもありますので、多くとりすぎると陽性となる確率が高くなってしまいますので、便をとる量は、容器いっぱいでなく少しの量で大丈夫です。さらに、便をとった容器は低温で保存して下さい。温度の高い所に置くと血液が、細菌などに破壊され陰性になりやすくなってしまいますので、保存はできるだけ冷蔵庫にし、早めに提出しましょう。 では、便潜血検査で要精密検査と判定されたら、医療機関で必ず精密検査をお受けください。受けなかった人の死亡危険度は、受けた人とくらべ約4倍になるともいわれております。つらいと思われがちな精密検査も、内視鏡の進歩と挿入技術の向上によって、今ではずいぶん楽に受けられるようになりました。大きな安心のためにも精密検査はかならず受けて頂き、不要な心配をなくしましょう。 大腸がんの発生と食生活には密接な関係があるといわれており、医学的に証明されているものもあります。 大腸がんのリスクをあげる食物としては、動物性の高脂肪、高たんぱくに、繊維食の不足にかたよった食事があります。リスクを減少させる食事としては、穀物、豆類の繊維食、牛乳、魚類の良質の蛋白質をバランスよくとることが奨められています。また、ビタミンCやEは発がん物質がつくられるのを阻止するともいわれているので、積極的にとることを心がけましょう。便秘は老廃物が長いあいだ腸に滞っている状態なので規則正しい排便が大切です。 健康な日々を過ごすため定期的な検診をうけることお勧めします。 |
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