以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

がんピアサロン結いについて
2018年4月放送
白河厚生総合病院健康福祉課
社会福祉担当課長 細田 勉

 おはようございます。私は白河厚生総合病院がん相談支援センター相談員の細田です。今日は、開設から1年が経過したがんピアサロン結いについてお話をいたします。本日の話をする内容は、がんサロンとは何か、がんサロンの意義、がんピアサロン結いの1年間活動報告、がんピアサロン結いの紹介の順番でお話ししていきます。
  最初に、結いという字は、糸編に吉と書いて結ぶという漢字になります。結いの意味は、がん患者さん、ご家族、地域の方々、病院職員が手をつないでよりよくしていこうという意味が含まれています。
次に、がんサロンについてお話をいたします。「がんサロン」としてイメージするのはどのような場や活動でしょうか?おそらく人それぞれで異なると思います。「サロン」を調べると、もともとフランス語の客室、応接室、談話室、交流の場を表す言葉として使われます。がんサロンとは、がん患者さんやご家族がお茶を飲みながら療養上の悩みを話し、交流や情報交換をする場です。患者会に比べ、がんサロンは敷居が低く、気軽に立ち寄れる憩いの場です。また、生活や就労の情報交換や、不安や孤独化を緩和することができ、同じ境遇の方々との対話を通じて、よりよく過ごすきっかけを見つける場でもあります。
また、憩いの場だけではなく地域住民であるピアサポーターと協力してがんサロンを運営していくことが、地域に根差した病院づくりの一助となることも考えています。ピアとは、仲間、同等という意味です。ピアサポートとは、同じようにがんを体験した人か、ご家族などが、ピア(仲間)として「体験を共有し、ともに考える」ことです。
  がんサロンの意義を、長命社会の観点から考えてみます。もはや人生80年時代を、病気や障害を1つも持たずに、完全に健康に生きると想定することは困難です。日本のような長命社会において、人々が病気や障害とともに生きる人生の時間の長さを考えると、「病と障害」が果たす意味や意義を積極的に考え直さざるを得ません。実際にがん体験を機に、がん患者さんは、人生を振り返り、今後どのように生きるか考えます。それは、人々が病気や障害とともに生きる人生の充実とも言えると思います。さまざまな医療や福祉などに関わる情報交換、人間関係のネットワークにも広がりも生じるでしょう。がんサロンにおける体験を通して、人間として成長し、成熟するという、経済に還元できない価値を積極的に発見する必要があることを重要視し、社会貢献できる活動と思います。
  次に、1年間の活動経過を報告いたします。H29年4月から月1回の開催をしてきました。H30年3月末現在の参加人数は、月平均13人です。がん患者さん1人での参加が一番多いですが、中には、サロンをきっかけに友人になり一緒に楽しく毎月参加されている方もいます。サロンで交わされる内容は、がんに対しての不安、精神的苦痛、社会生活、医療者とのコミュニケーション、がん治療等の内容等で交わされることが多いです。がんサロンの参加をきっかけに、悩んでいたこと、不安なことを人に言えなかった方が、悩みを打ち明けることができ、がん相談支援センターで相談し解決した方もいます。参加された患者さんの声には、楽しんで生きることを目標に頑張ることができる、参加することが楽しみ、勇気を出してがんと向き合うことにしました、みんなと出会えて感謝ですと話されておりました。がんピアサロンを開設して良かったと実感できた言葉でした。
  次に、がんピアサロン結いの紹介をいたします。特定非営利活動法人「がんピアネットふくしま」さんと共同して、月1回の開催をしています。病気そのものだけでなく、治療や検査に伴う不安や苦痛、生活上の悩みや心配などいろいろなことを、お茶を飲みながら仲間と語りあう憩いの場です。対象者として当院にかかられている患者さんや家族だけでなく、地域の方々にも利用できます。がんピアサロン結いには、互いに支え合える仲間がいます。サロン開催日は、参加者全員でサロンの目的、ルールを読み上げてから始まります。今日は、サロンの目的、ルールをラジオを聞いているみなさんにご紹介したいと思います。サロンの目的は、楽しめる憩いの場、情報交換の場、学びの場です。ルールは、お互いの気持ちを認め合うこと、相手の立場・状況を考えて話すこと、他人が受けている治療が、自分に合うとは限りません医師に相談しましょう、理由なく人の話を遮ったり、避難・批判をしないようにしましょう、サロンで聞いた内容は、外で話さないようにしましょうと気持ちを1つにしてから始まります。
  途中参加、途中退室など自由です。平成30年度も毎月第四火曜日、14時~16時まで当院8階職員食堂で開催しております。料金は無料で予約不要です。
  また、県内では当院以外のがん診療連携拠点病院や各地域で開催しております。どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。以上で本日のお話を終わります。