誤嚥性肺炎とその予防について
2018年7月放送
塙厚生病院 言語聴覚士
阿部 律江(あべ のりえ)
 皆さん、おはようございます。塙厚生病院言語聴覚士の阿部律江です。今朝は誤嚥性肺炎とその予防についてお話をさせていただきます。言語聴覚士は「ことばのリハビリ」と思われる方もいらっしゃるかと思います。言語聴覚士はことばの障害だけでなく飲み込みのリハビリも担当しています。ことばを話すときに使う筋肉と食べ物を食べるときに使う筋肉はほぼ同じ部分を使っているため、脳血管疾患などの後遺症でことばの障害がある方の中には飲み込みの障害を合併している方が少なくありません。
 病気の後遺症ではなくても、お年を重ねるとともに噛む力や飲み込む力が衰えてくる場合もあります。食事中に食べ物や飲み物が気管に入ってむせるという体験をしたことがある人も多いでしょう。このように、食べたものが気管に入ってしまうことを「誤嚥」といい、窒息や肺炎を招くこともあります。誤嚥により食べ物とともに細菌が気管に入り込むことで発症するのが「誤嚥性肺炎」です。「誤嚥性肺炎」は高齢者の死亡原因として多くの割合を占める怖い病気です。
 食べ物や飲み物が気管に入ると激しくむせるのは、誤嚥を防止するための防御反応です。健康な人であれば、むせ込むことで誤って入ってしまった食べ物を気管の外に出すことができます。しかし、病気や加齢などによって、誤嚥に対する防御反応が低下すると誤嚥をしてもむせないことがあります。それを「むせのない誤嚥(不顕性誤嚥)」と言います。この状態では、誤嚥した食べ物が気管の中に入ったままの状態になるので注意が必要です。食事中以外にも寝ているときも誤嚥のリスクはあります。唾液が気管の方に流れてきて、気が付かないうちに誤嚥をしているというケースです。このような誤嚥を繰り返し、肺に細菌が入り込んでしまうと誤嚥性肺炎のリスクも高くなってしまいます。
 誤嚥性肺炎を予防する5つのポイントです。
1.食べ物や飲み物の誤嚥を防ぎます。「ボロボロ」「パサパサ」「サラサラ」「ペラペラ」このような特徴を持った食べ物を食べるとむせやすいので注意が必要です。やわらかく調理をしたり水分にとろみをつけるなど食べ物の形態を調整することで、誤嚥を防ぎます。
2.口の中を清潔にしておきます。体力や抵抗力が弱っている高齢者にとって、口の中の細菌は大敵です。口腔ケアは全身の健康に影響を及ぼします。朝起きてすぐと食後の口腔ケアは忘れずに行いましょう。
3.食事中や食後の姿勢です。背筋を伸ばして顎を軽く引いた姿勢で食べます。姿勢が不安定だと食べ物を口にうまく運ぶことができずこぼしたり、誤嚥につながる恐れがあります。また、胃から食道への逆流を防ぐために、食後1~2時間は起き上がった姿勢で過ごすようにします。
4.肺炎にかかりにくい・かかっても治りやすい体力をつけておきます。元気な体を保つためには、ごはんやパンなどの主食だけではなく、肉や魚、大豆製品などの蛋白質や野菜などのビタミンをバランスよく十分に摂ることが必要です。食が細いあるいは疲れやすくより手軽に栄養を摂りたい場合は、市販の栄養補助食品を利用するのもおすすめです。
5.口の動きを鍛えます。口唇や舌も筋肉でできていますので、動かさないと筋肉が衰えてしまいます。ほっぺを膨らませたり、舌を出すなどの口の体操を積極的に行いましょう。
 健康な時にもむせや咳が起こることはありますが、頻繁に繰り返している、痰が増えてきた、食事量が少なくなった、短期間で体重が減ってきた、微熱が続いているなどの症状がみられると、気が付かないうちに誤嚥をしている可能性も考えられます。嚥下障害になると、食べ物や飲み物が十分に摂れず、栄養や水分が不足して体力低下につながります。気になるときは専門機関に早めにご相談ください。ご清聴ありがとうございました。



健康アドバイス

 

Google

WWW 検索 サイト内 検索