介護老人保健施設で働く看護師の役割
2019年5月放送
塙厚生病院併設介護老人保健施設久慈の郷
看護主任 円谷 由美枝

 皆さん、おはようございます。私は、東白川郡塙町にあります介護老人保健施設久慈の郷で看護師をしています、円谷由美枝と申します。今回は「介護老人保健施設で働く看護師の役割」についてお話したいと思います。
 介護老人保健施設は、病状が安定した方が、機能維持・改善のためのリハビリテーションを中心とした介護を受け在宅復帰を目指す、病院と在宅の中間的な役割を果たす施設です。在宅復帰を目指していることから、医学的管理のもとリハビリテーションに重点を置いた介護を提供するために様々な職種が関わっています。医師、看護師による健康管理、理学療法士・作業療法士によるリハビリテーション、管理栄養士による献立の作成・食事の提供、介護士による生活全般の支援、ケアマネジャーによるケアプランの作成、支援相談員による家族とのサービス調整など多職種で利用者の自立を支援して、円滑に在宅復帰ができるよう地域や各事業所と連携しています。
 利用されている方は、病状が安定しているものの様々な病気や慢性的な症状を抱えて生活している高齢者の方がほとんどです。複数の病気や症状に対応するため、病院で経験を積んだ看護師が13名配属され、24時間体制で関わっています。看護師は、利用者の生活場面を通して健康管理を行い、感染の予防や安全に生活できているか確認し、その人らしく生活できるよう支援しています。また、病院や各事業所と連携することで在宅や他施設でも安心して生活できるように環境を整えています。介護老人保健施設は生活の場であり、看護師は、その人を理解し生活を支える介護士と協同し、看護の視点を持ち利用者の命と生活を守っています。当施設では医師が常勤しており、状態の変化があれば報告し指示に対し処置を行うことができます。原則的に施設では病気の治療はメインの仕事ではありません。あくまで一般的な内服薬の投与や点滴を行い、生活に必要な医療処置や観察を行うところです。また、本人・御家族が希望すれば病院に入院し専門的な治療を受けることもできますが、病院受診は医療保険となるため、介護保険で運用している施設は退所する必要があります。
 病院は治療の場ですが、介護老人保健施設は生活の場であるため病院と比べて医療行為は少なくなります。その人らしい健康を保つための支援をすることが大切であり、必要な処置と観察を行うことが看護師の役割です。具体的には、加齢に伴う体力の低下のため食事が摂れない、熱を出した場合など脱水予防のために点滴を行います。点滴は利用者の苦痛を伴うことから、基本的にはまず管理栄養士や介護士、時には御家族に相談して食事形態を変えたりして少しでも食事や水分が摂れるように工夫するようにしています。そして、いつもと体調が違う場合は御家族に連絡し、今の状態を分かりやすく伝え、「安心して家族を預けられる」と思っていただけるよう心掛けるようにしています。
 介護老人保健施設と病院との最も大きな違いは、看取りが最初から組み込まれていることです。人は誰もが老いその延長上に死があり、全ての人が通る自然な過程です。過剰な医療や延命処置による苦痛を与えることなく、自然なかたちで最後を迎えられるようにしています。加齢や慢性疾患の経過による身体的精神的機能の低下などから老衰と思われる場合、看取り期が近いことを医師と共に判断し、御家族への説明を看護師が行います。当施設での看取りの希望がある場合は、十分な説明を行い、御家族から同意を頂き、個人の意思の尊重と御家族の希望に沿った最後を迎えるため関係者全体で関わるよう調整します。看護師は苦痛の軽減を図るための処置や観察、体調の管理を行い、症状に応じて段階を追って御家族が理解できるように説明し、最後を迎えるための心の準備と、残された時間を御家族と過ごすことができるよう調整しています。可能であれば好きなものを少量でも食べて頂き、介護士と共に今までのケアを苦痛のない程度に行い、一日一日を大切に過ごして頂けるように努めています。
 最後に、介護老人保健施設は病院のように病気に対する看護と医療処置は多くはありませんが、その分、利用者の方々と生活の援助を通して関わる時間がたくさんあります。その時間を通して利用者の今まで生きてきた過程や習慣等を尊重し、その人らしい生活が出来るよう看護していきたいと思います。



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