以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
JA福島厚生連からの最新の情報は、TOPページからご覧ください。



農家の皆さんへ

「農作業を長く継続する為の、誰でも出来る手軽な体操」
2019年9月放送
介護老人保健施設なごみ
作業療法士 松本美奈子

 皆様、おはようございます。
介護老人保健施設なごみで、作業療法士をしております。松本美奈子と申します。

 本日は、リハビリテーションの視点から、主に農作業に従事されている方の体への負担や、負担軽減のために手軽に出来る体操をいくつか御紹介したいと思います。

 現在、日本の人口は減りつつありますが、高齢者の人口は増加傾向です。農業分野においても平均年齢が65歳以上と農業労働力の高齢化が進んできており、農業に従事されている方の体への負担も大きいようです。
 痛みで見てみると、1番目に肩、2番目に腰、3番目に膝、首、足の順で痛みを感じることが多いようです。稲作や根菜類などの野菜の栽培では、中腰姿勢や前屈み姿勢での作業が多く、腰や膝の痛みが多く見られています。また、農作業でも桃・ぶどう・りんごなどの果樹栽培では摘果や収穫作業時の上向き姿勢による首、肩周囲への負担が強くなる傾向が見られるようです。腰を曲げながらの作業や手を上げたままの作業では腰や肩への負担が痛みを誘発しやすい要因となってきます。労働負担と健康に関する研究では、ストレッチなど日常的な体のケアを図っていくことが有効であると示されています。農作業をされる方は作業中や作業後の健康状態に注意する必要があり、仕事を続ける上でも健康面との関係が深いとの報告もあります。このことから、働く上でストレッチや運動などを習慣的に取り入れ、体のケアを図っていくことが有効であり大切です。
 そこで、皆様が長く仕事や農作業を継続できるようにいくつか体操を御紹介します。

 始める前に注意点の説明です。
 1つ目、痛くならない範囲で実施しましょう。
 2つ目、無理はしないようにしましょう。
 3つ目、呼吸は止めずに行いましょう。
 体操はすべて覚えなくても、気に入ったものを反復することで運動になります。
 腕、体と足、整備体操の順に紹介していきますので、ご自分のペースで取り組んでみてください。

 まず、基本姿勢です。
  ・立位で行います。 
  ・顎を引きます。
  ・お腹に力を入れお腹をへこませます。
  ・頭のてっぺんがまっすぐ天井に引っ張られるように体を伸ばします。
   お腹に力が入ったままを維持できていれば成功です。
体操中はこの基本姿勢を意識し、なるべく保つようにしてください。

 では、腕の体操からです。
バンザイをしたまま、背のびを2回します。続いて、肩の上げ下げを2回行います。
次に、肩に手をつけて肩回しを前後に10回ずつ行います。

 続いて、体と足の体操です。
足を広げて前屈、後屈、体を左右に側屈します。それぞれ3回ずつ繰り返しましょう。
次に、大きく手を振りながら足踏みを10回行います。
続いて、腰の横に両手を当てて骨盤回しを3回程度繰り返しましょう。

 最後に調整として、ゆっくりと深呼吸を行い、呼吸を整えます。

 以上が体操の内容でした。提案としてですが、農作業や仕事の前後にできる運動を習慣的に取り入れてみてはいかがでしょうか。仕事のほかにも、家事や育児にと皆様それぞれの生活があると思います。体操は一人では寂しい、続かない、恥ずかしいと感じる方も多いはずです。身近な家族や御近所の方を誘い一緒に取り組んでみてはいかがでしょう。
 生き生きと楽しく生活していく為には、健康で丈夫な体作りが重要です。無理をせず、水分補給や休憩を取り入れながら出来る運動を行い、今日も一日元気に過ごしましょう。
 最後まで聞いてくださり、ありがとうございました。