以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

健やかな生活をめざして
2019年10月放送
高田厚生病院
栄養科 大橋 恵美

 ラジオをお聞きのみなさんおはようございます。高田厚生病院栄養科で管理栄養士をしております大橋と申します。今回は「健やかな生活をめざして」というテーマで、食事を通して、いつまでも元気に健やかな生活を送れるようお話しさせていただきます。
 近年、メタボリックシンドローム、いわゆる「メタボ」はご存知の方が多いと思います。これは内臓脂肪の蓄積によって、糖代謝異常・脂質代謝異常・高血圧を2つ以上持ち合わせている状態のことをいいます。また、発症には生活習慣が深く関わっており、食べ過ぎと運動不足が主な要因になっています。
 メタボリックシンドロームの予防は、糖尿病・脂質異常症・高血圧・痛風・脂肪肝・動脈硬化症など、生活習慣病の発症予防につながります。このほかにも、メタボリックシンドロームの方は心筋梗塞や脳梗塞になる確率が高くなるといわれています。
 それでは、食生活で具体的に予防するポイントを7つ紹介します。
1つめは
・規則正しい食生活を送るようにしましょう
 主食となるごはん類、主菜となる肉・魚など蛋白質のおかず、副菜となる野菜のおかずを毎食そろえ、1日1回は牛乳・乳製品や果物をとるようにし、バランスを整えます。また、1日3食、食事量の配分をほぼ均等に摂ることが理想的です。食事時間もなるべく決まっている方が規則正しい食生活を送ることができます。
2つめに
・食物繊維から先に食べましょう
 食物繊維は、野菜や海藻・きのこ類に多く含まれています。血糖値が上がるのを予防したり、便通の改善や脂質異常症の改善に効果があります。それから、メタボ検診でイエローカードの男性の皆様や、美しい肌やスタイルを追求する女性の皆様にも是非お勧めです。一日に摂る食物繊維の目安量は20gと言われており、それを野菜から摂ろうとすると両手のひらを広げた上にのるぐらいの量の生野菜、重さで言うと約300g~350g程度を食べる必要があります。具体的な目安としては、1日大皿2皿程度、できれば一回の食事に小鉢ふたつ分程度が理想です。意識して増やすようにしましょう。
3つめは
・よく噛んでゆっくり食べましょう
 満腹中枢は、食べ始めから20分後ぐらいに満腹だという指令がおりてくると言われています。ですから、その前に食事を終えてしまうと、ついつい食べ過ぎてしまっていることが多くなります。また、よく噛んで食べることによって満腹中枢への刺激が伝わりやすくなり、少ない量でも満腹感や満足感が得られます。それから、噛むという行為にはリラックス効果もあります。皆さんも早速試してみましょう。
4つめに
・好きなものでも一人前にしましょう
 たとえ健康に良いと言われているものでも食べ過ぎはよくありません。また、好きだからと言ってそればかり食べることも控えましょう。食事のバランス的にも偏らないように注意しましょう。
5つめは
・就寝前2時間は食べないようにしましょう
 食事をとってすぐに寝てしまうと、体が吸収したエネルギーをあまり使わないため、体脂肪として蓄積されやすくなります。また、夕食を食べる時間が遅くなるほど体脂肪として蓄積されやすくなるといわれています。就寝までの時間をあけた方が胃腸にとっても優しいことがわかっています。
6つめは
・薄味に慣れましょう
 味の濃いものは食欲が増し、ついつい箸が進んでしまい食べ過ぎの原因にもなります。また、塩分の摂りすぎは高血圧や血管の老化につながります。血管を老化させないためには、塩分を控えることが重要になってきます。また、血管の老化を防ぐことにより若い脳を保つことで、認知症も予防することができます。具体的な塩分量は、1日に男性で8g未満、女性で7g未満を目標にしましょう。
7つめに
・適度に体を動かしましょう
 ウォーキングなどの有酸素運動が、一般的に最適だとされていますが、まずは日常生活の中でこまめに動くことからはじめて、無理のないように継続しましょう。

 以上の7つのポイントをひとつでも多く実践することにより、血糖・血圧・脂質異常症の改善につながり、生活習慣病発症の予防になります。また、体を動かすことで筋肉が維持され、エネルギー消費量が高まり、体重コントロールがしやすくなります。これらは、内臓脂肪を減らす近道にもなります。体重は「摂取エネルギーから消費エネルギーを引いた値」で変化します。ということは、摂取エネルギー分を全部燃焼させれば体重は変化しません。逆に燃焼分よりも多く摂取すれば体重は増えます。体重は、摂取エネルギーと消費エネルギーとのバランスです。
 そして、メタボリックシンドロームを予防する最大の利点は、健康寿命をのばし医療費を削減することにあります。そして、生活習慣病や認知症を予防し、健康寿命がのびることによって心身ともに健やかな生活が送れることと思います。
 最後に、メタボリックシンドローム予防の合言葉として「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後に薬」を掲げ、まずは、できることから日常生活に取り入れていきましょう。これから先、ひとりでも多くの方の健康寿命がのびることを願っております。