以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
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農家の皆さんへ

「~高額療養費制度について~」
2020年2月放送
坂下厚生総合病院
医療福祉相談室 三川 将史

 ラジオをお聞きの皆様、おはようございます。私は、会津坂下町にあります坂下厚生総合病院医療福祉相談室の三川将史と申します。
 今回は、病気や怪我で医療費の負担が大きくなった時に、負担軽減をすることができる「高額療養費制度」についてお話させていただきたいと思います。

 高額療養費制度とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費が高額療養費制度で定められている自己負担限度額を超えた分が、あとで払い戻される制度です。医療費の自己負担限度額は、年齢および所得状況等によりが設定されています。

 高額療養費の申請方法は、事後申請と事前申請の2つに分けることができます。

 まず、事後申請の場合の方法についてご説明します。
 事後申請の場合は、一旦は医療機関の窓口へ掛かった分の医療費を支払います。もしも、その医療費が高額療養費制度で定められている自己負担限度額を超えていた場合、加入している公的医療保険の運営主体者である保険者へ高額療養費の支給申請を行い、その後、保険者から自己負担限度額を超えた部分が払い戻しされます。この方法で注意したいのは、最終的には自己負担する医療費は高額療養費制度で定められた自己負担限度額に抑えられるものの、入院や手術となれば医療費が高額になる可能性が高く、一時的とは言え高額な医療費を立て替えなければなりません。また申請後、払い戻しされるまでに数か月を要し、申請を忘れてしまった場合は払い戻しもされませんので忘れずに申請が必要です。

 少しでも負担や手間を抑えたい方には、事前申請をする方法をおススメします。事前申請する場合は、医療費を支払う前に現在加入している保険者に「限度額適用認定証」というものを申請し取得する必要があります。「限度額適用認定証」とは、請求される医療費が、高額療養費制度の自己負担限度額までとなる認定証です。「限度額認定証」を医療機関の窓口に提示をすれば、余計に支払う医療費を減らすことができますし、後から払い戻しの申請する必要もありません。すでに入院してしまっている場合でも、その月のうちに「限度額適用認定証」を取得して、病院の窓口に提示することができれば、その月の医療費から自己負担限度額の適用となります。前もって手術が予定されている入院等にあたっては、「限度額適用認定証」を取得しておくことをおススメします。この方法の一番のメリットは、自己負担限度額で医療費の支払いが止まるため負担が軽減されることですので、医療費の支払いに不安のある方は、入院前あるいは支払い前に「限度額適用認定証」の申請をしておくと良いでしょう。

 限度額適用認定証の手続きは加入されている各健康保険の窓口で申請出来ます。
 ・国民健康保険の場合
 自分が住んでいる市区町村の国民健康保険の窓口へ申請をします。
 ・協会けんぽの場合
 健康保険証に「全国健康保険協会(協会けんぽ)」と書かれている場合は、協会の各都道府県支部に申請します。
 ・組合健保の場合
 健康保険証に企業や事業単位の健康保険組合が書かれている場合は、その健康保険組合へ申請をします。各組合によって書式が異なりますので、ホームページや担当部署に確認をしてみてください。

 「限度額認定証」の申請手続きには、数日かかる可能性もありますので、余裕をもって手続きをされることをおススメいたします。また、手続きをしても窓口への提示がない場合は制度の対象になりませんので忘れずに医療機関の窓口へ提示をしてください。有効期間もありますので、期日も確認しておく必要があります。また、入院中の食事代や保険がきかない室料、差額ベッド料および歯科の自由診療等は、支給の対象外です。
 最後になりますが、高額療養費制度を利用する場合は、ご自身での申請が必要になります。制度を知らずに、高額な医療費を支払ったままになっている方も少なくありません。医療費について心配な方は、掛かりつけの病院や医療ソーシャルワーカーへご相談をしてみてください。

 それでは、今日も一日に気を付けてお過ごしください。