以下の記事は、福島県厚生農業協同組合連合会(JA福島厚生連)「健康アドバイス」として、過去に掲載された情報のバックナンバーです。
JA福島厚生連からの最新の情報は、TOPページからご覧ください。



農家の皆さんへ

「『新しい生活様式』における熱中症対策について」
2020年8月放送
JA福島厚生連 業務部
健康福祉課長 佐藤 剛

 みなさん、おはようございます。
 暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。私はJA福島厚生連 健康福祉課 佐藤と申します。
 本日は、新型コロナウイルスを想定した『新しい生活様式』における熱中症対策について、お話したいと思います。新型コロナウイルスの対策が続く中で迎えている今年の夏ですが、マスク着用や運動不足で熱中症のリスクが例年以上に高まっています。熱中症に詳しい専門家は「誰も経験したことのない夏になる」として例年以上に備えを徹底するよう呼び掛けています。環境省・厚生労働省からも、5月から『令和2年度の熱中症予防行動』と銘打って指針を出しています。その内容について解説したいと思います。

 「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイント
 新型コロナウイルスの出現に伴い、感染防止の3つの基本である①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗いや、「3密(密集、密接、密閉)」を避ける等の「新しい生活様式」が求められています。このような「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントは以下のとおりです。

1.暑さを避けましょう
・エアコンを利用するなど、部屋の温度を調節しましょう。
・感染症予防のため、換気扇や窓開放によって換気を確保しつつ、エアコンの温度設定をこまめに調整しましょう。
・暑い日や時間帯は無理をしないようにしましょう。
・涼しい服装にしましょう。
・急に厚くなった日等は特に注意するようにしましょう。

 なお、ほとんどのエアコンでは換気が出来ません。エアコンと換気の両立がなかなか難しいところではありますが、夏本番前には部屋が暑くならない程度に窓を開けて外気を取り入れることをお勧めします。また、8月の様に熱中症のリスクが高まる真夏の時期は、窓を開けての自然換気よりも、トイレや台所についている換気扇など機械による換気を積極的に行いながら、同時にエアコンを使う方法がお勧めです。

2.適宜マスクをはずしましょう
・気温・湿度の高い中でのマスク着用は要注意です。
・屋外で人と十分な距離(2メートル以上)を確保できる場合には、マスクをはずしましょう。
・マスクを着用している時は、負担のかかる作業や運動を避け、周囲の人との距離を十分にとった上で、適宜マスクを外して休憩しましょう。

 マスクの中の温度は3度ほど違うといわれています。専門家は「マスクによって一概に熱中症なりやすいということではないが、マスクを着けると呼吸がしにくくなり、心拍数や呼吸数が1割ほど増えるというデータがある。そこに運動や気温の急激な上昇が加わると、熱中症になるリスクが高まる。マスクで飛沫感染を防ぐことは重要だが、高齢者や一人暮らしの人は特に熱中症に注意が必要だ。屋外であれば木陰などの人の少ない場所でマスクを外して休むことも心がけ、さらに汗で湿ると通気性が悪くなるので、マスクを適度に取り替えることもしてほしい」と話している。

3.こまめに水分補給をしましょう
・のどが渇く前に水分補給をしましょう
・1日あたり1.2リットルを目安に水分を摂取しましょう。
・大量に汗をかいた時は塩分を忘れないようにしましょう。

 水分補給については、経口補水液がおすすめです。ドラッグストアなどでも販売されています。のどがあまり乾かない人や、トイレに頻繁に行くのを気にして水分摂取を避けてしまう人もいるかもしれませんが、経口補水液は少量で効率よく、塩分補給することが出来ます。

4.日頃から健康管理をしましょう
・日頃から体温測定、健康チェックを行いましょう。
・体調が悪いと感じたときは、無理をせず自宅で静養しましょう。

5.暑さに備えた体作りをしましょう
・熱くなり始めの時期から適度な運動をしましょう。
・水分補給は忘れずに、無理の無い範囲で行いましょう。
・「やや暑い環境」で「ややきついと感じる程度」に毎日30分程度の運動を心がけ、体が暑さに慣れるようにしましょう。

 徐々に体を暑さに順応させることを暑熱順化(しょねつじゅんか)といいます。暑熱順化すると低い体温でも汗をかきやすくなり、汗の量は増えます。 さらに皮膚の血流も増加します。 熱が逃げやすくなり体温の上昇を防ぎ、熱中症を防ぐことになります。
 自宅で「暑熱順化」を進める方法もあります。適度に運動をしたり、お風呂に長めにつかって汗をかくことで、暑さに慣れることも有効だとされています。もちろんその際は水分補給を忘れないようにして、無理の無い範囲で行ってください。また、暑い時期になると熱中症により自宅からの搬送が最も多くなります。暑いときには適切にエアコンを使い、水分補給を心がけてください。
 特に高齢者、こども、障害者の方々は熱中症になりやすいので十分に注意しましょう。3密を避けつつ、周囲の方からも積極的なお声掛けをお願いします。

 まだまだ暑い時期が続きます。十分な感染予防を行いながら、熱中症対策についてもこれまで以上に心掛けるようお願いいたします。
 最後までお聞きいただきありがとうございました。