がんとリハビリテーションについて
2021年7月放送
塙厚生病院 リハビリテーション科
理学療法士 川井 貴彦

 ラジオをお聞きの皆さんおはようございます。塙厚生病院 リハビリテーション科 理学療法士の川井貴彦です。
 本日はがんとリハビリテーションについてお話させていただきます。

 がんは現在、日本人の約2人に1人は一生のうち何かしらのがんを罹患するといわれるほど身近に存在する病気です。近年は医療技術の進歩で治療できるがんも増えてきましたが、いまだに日本人の死因第一位であり、3人に1人はがんで亡くなるといわれています。
 がんにおけるリハビリテーションは患者さんの生活の質(QOL)を大切にする考え方に基づき、患者さんの回復力を高め、残っている能力を維持・向上させ、今までと変わらない生活を取り戻すことを支援するものです。
 がんになると、がんそのものや治療に伴う後遺症や副作用などによって、患者さんはさまざまな身体的・心理的な障害を受けます。障害を抱えることによって、日常生活に支障をきたし、家事や仕事、学業などへの復帰も難しくなると、QOLも著しく低下してしまいます。しかし、がんになっても、リハビリに取り組むことでこれまでどおりの生活をできるだけ維持し、自分らしく過ごすことが可能となります。
 がんのリハビリは、診断された早期からどのような病状や状況、時期でも取り組むことができます。治療のどの段階においても、それぞれのリハビリの役割があります。がんと診断された後、手術や抗がん剤治療、放射線などの治療が始まる前、あるいは実施された直後からリハビリを行うことによって、治療に伴う合併症や後遺症などの予防を図ります。
 例えば手術前はあらかじめ術後に起こる体の変化とその予防・対処方法についての指導・助言を行ったり、手術後できるだけ早くに体を起こし、運動していく事を促すことで安静による体力の低下を最小限にとどめたりします。
 抗がん剤や放射線による治療中は、がんそのものや治療の副作用による痛み、吐き気、だるさなどの症状が起こります。副作用で食欲が低下して栄養状態が悪くなったり、気持ちがふさぎ込んだりして、動かず、活動量の少ない不活発な生活になりがちです。不活発な生活が続くと、筋力・体力は低下し、一層疲れやすくなります。そして、疲れるから動かない、動かないから体力が低下するといった悪循環におちいり、ついには寝たきりになる「廃用症候群」を来してしまいます。廃用症候群にならないためこの時期に定期的な運動を行うことによって身体機能が高められ、疲れにくくなります。また、すっきりした気分になり、精神的苦痛も軽減されます。
 がんの進行が進み積極的な治療が行えなくなった時期にも「緩和的リハビリテーション」が行われます。がんの進行とともに体力が低下し、日常生活動作も少しずつ障害されてくる場合でも、最後まで食事や排せつなど自分のことは自分で行えるよう、必要な動作の仕方や、効率よく動作が遂行できるよう環境の整備などを行います。また、痛みや呼吸困難を和らげるための関りも行います。
 患者さんが必要なときに適切ながんのリハビリを受けるためには、がんのリハビリに対するご家族の正しい理解が大切です。 手術を受ける際には、手術による障害を予防するために、どのような対応をしてもらえるのか、担当医や病棟看護師にぜひ相談してください。また、ご家族もがんそのものや治療に伴う症状や倦怠感で患者さんが苦しんでいたら、「がんになったのだから仕方がない」と思わずに、がんのリハビリを受けることを勧め、担当医に積極的に相談してください。 がんのリハビリは患者さんだけでなく、ご家族に対しても提供されるものです。看護師やリハビリスタッフから適切な介護の方法を教えてもらったり、患者さんが動きやすいように手すりをつけるなど生活環境を整備してもらったりすることは、介護者が自宅で看病する際の負担軽減につながります。 がんのリハビリは、がんと診断されたときから、あらゆる状況に応じて行われるため、提供される場所もさまざまです。病期が変化してもスムーズに必要なリハビリを受けられるよう、地域のがん診療連携拠点病院に併設されているがん相談支援センターで、がんのリハビリに関する情報を収集しましょう。

 当院でも、今年度からがんのリハビリテーションが本格的に稼働しています。

 がんに罹患しても、患者さんの病状に合わせた適切なプログラムを提供し、体力を取り戻すことはもちろん、その人らしい生活が再び送れるように、リハビリスタッフが一丸となって取り組んでいます。
 また、医師だけでなく、看護師をはじめ様々なスタッフと連携し、それぞれの専門性を活かし、患者さんの病状に合わせた適切な関わりを実践しています。
 がんや、がんのリハビリテーションについての疑問や悩みなどがございましたら、当院までお気軽にお問い合わせください。

 最後までお聞きいただきありがとうございました。



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