便秘と下剤のお話
2019年2月
鹿島厚生病院
薬剤科 薬剤科長補佐 斗蔵 勲
はじめに
 近年、食生活の欧米化、車社会による運動不足、超高齢化などに伴って、便秘を訴える方が増加しています。便秘は患者さんが訴える症状の中でも頻度が高く、その羅患率は成人の約十四パーセントとされ、特に女性や高齢者に多くみられますが、それほど深刻に考えられていない場合があります。そこで今回は、便秘と下剤についてお話します。

便秘とは
 便秘とは、「三日以上便が出ていない状態または毎日排便があっても残便感がある状態」、「排便が数日に一回程度に減少し、排便間隔が不規則で便の水分含有量が低下している状態(硬便)を指す」、「腸管内容物の通過が遅延・停滞し、排便に困難を伴う状態」などと定義されていますが、平成二十九年十月に発刊された『慢性便秘症診療ガイドライン2017』では「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。

原因と対処法
 便秘の主な原因としては、加齢による蠕動運動の低下、食生活の変化、運動量の減少、内服薬の影響、精神状態の変化などが挙げられますが、他にも様々な要因が関係していると考えられます。
 便秘を改善するには、水分や食物繊維の摂取、朝食をきちんと摂るなどの食生活の改善、適度な運動、規則正しい生活などが大切ですが、それでも改善されない場合は下剤などのお薬を使用することになります。

代表的な下剤の種類と特徴
〇塩類下剤
・酸化マグネシウム
 腸壁から水分を引き込み、便の水分量を増やして柔らかくし、量を増やして大腸を刺激することで排便を促します。しかし、腸管の動きを良くする働きはないので、便が軟らかくても出ない方には不向きです。習慣性が少なく長期的に使用できるとされています。このお薬を長期間服用している患者さん、腎機能が悪い患者さん、高齢者の患者さんは、「高マグネシウム血症」を発症する場合がありますので、定期的な検査を受けるようにして下さい。
〇膨張性下剤
・カルメロースナトリウム
 多量の水分を吸収して便を軟らかく膨張させ、腸を刺激して排便を促します。多量(コップ一杯以上)の水で服用します。副作用はほとんどないとされていますが、吐き気や膨満感を感じる場合があります。
〇大腸刺激性下剤
・センナ、センノシド
・大黄
・ピコスルファートナトリウム
・ビザコジル(坐剤)
 腸を刺激して腸の働きを活発にし、排便を促します。効果は強いですが習慣性があり、長期的に使用していると効果が薄れてくるとされています。また、服用により腹痛を伴うことも多い下剤です。長期間大量に使用しないよう注意が必要です。
〇腸液分泌促進薬
・ルビプロストン
 腸管内への腸液の分泌を増加させて便を軟らかくし、排便を促します。大腸刺激性下剤のような習慣性がなく比較的安全に長期服用ができるとされています。また、腸閉塞またはその疑いのある人、妊娠中またはその可能性のある人は使用できません。
〇浣腸
・グリセリン
 グリセリンは50%と高濃度のため、浸透圧によって腸管内に水分を供給し、直腸を刺激します。効果は即効的です。チューブを挿入する時、腸粘膜を傷つけないように注意が必要です。腸の病気がある人、全身衰弱のある人には使用できません。

おわりに
 一言で便秘と言っても非常に奥が深く、このページで紹介した内容では説明不足な点が多々あるかと思います。また、下剤もその種類によっては使用できない人や重大な副作用のリスクがあるものもあります。規則正しい生活を心がけ、自分がどのようなタイプの便秘であるかを理解し、自分に合ったお薬を使用することが大切です。

健康アドバイス

 

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