「効果的な水分の摂り方」
2020年9月放送
介護老人保健施設 なごみ
管理栄養士 鈴木 千佳

 9月に入り、少しずつ秋らしい気候になってきました。暑さが一段落した今、夏場ほど水分補給を心掛けなくなりがちですが、冬場にかけても“脱水”には注意をしなければいけません。人間は体温を一定に保って生命維持をしています。体温の変動に対して弱い生き物なので、季節の変わり目は暑い日があれば、涼しい日もあり、1日の気温差も激しく、夏の疲れが蓄積して体力が落ちてしまいます。汗を大量にかく暑い夏のほうが、意識的に水分を取ろうと注意しますが、秋は涼しくなり汗をかかなくなるため、「水分を取らなくても大丈夫だろう」と油断しがちです。そのこと自体が、“隠れ脱水”を引き起こしてしまう大きな要因になってしまいます。
 原因としてはまず、空気の乾燥が挙げられます。乾燥した環境では、皮膚や粘膜、あるいは呼気から、特に自覚がないまま水分が失われる「不感蒸泄」が増えます。つまり冬場では、日常的に生活するなかで、知らず知らずのうちに体から水分が失われる量が増えていることになります。冬は水分を失っている自覚が少ないため、夏場に比べ飲み物の摂取が減りがちです。体感温度が低いと喉の渇きを感じにくいことも理由のひとつですが、体を冷やしたくないなどの理由で飲み物の摂取を控えてしまうこともあるでしょう。では、脱水を防ぐためにはどのように水分補給をするのがよいのでしょう。
 ここから、水分補給の時に気を付けるポイントを二つ紹介したいと思います。
 一つ目は、こまめな水分補給を心掛けることです。
 のどが渇いたと感じた時点で、かなりの水分が失われています。のどが渇いたから水分を補給するのではなく、定期的に飲むようにしましょう。人が、一度に飲んで効率的に吸収できる量は200ml、つまりコップ1杯程度です。それ以上飲んでも、排出されてしまい体内に溜めることが出来ません。水分補給の目標量は食事以外に1ℓ~1.5ℓとなっていますので、一日5回から8回に分けて飲むのが効果的です。朝起きた時、朝食の時、10時頃、昼食の時、3時頃、夕食の時、入浴前、就寝前に分けて飲むように心がけましょう。寒くなってくるとトイレに行くのが面倒になり、水分補給を控えてしまうこともあるでしょう。厚着をしたり、暖房器具の使用で、知らないうちに汗をかいていることが多くなっています。おうちの中でゆっくり過ごすような場合は、少量ずつ時間をかけて飲むことをお勧めします。
 二つ目は、飲み物の種類を選ぶことです。
 コーヒーやアルコール、カフェインの多いお茶は利尿作用がある為、水分補給としての飲み物には適していません。嗜好品として楽しむには問題ありませんが、それで水分を摂っていると勘違いすると逆に水分不足になってしまいます。
 では、どのような飲み物が適しているかということですが、日常生活ではお水や麦茶がよいでしょう。日常生活中の不感蒸泄では電解質はあまり失われないため、脱水予防としてはお水や麦茶で十分です。運動や農作業等で一度にたくさんの汗をかいた場合には、スポーツドリンクなど、電解質が含まれているものを補給することが望ましいでしょう。ただし、スポーツドリンクには糖分も多く含まれるものがありますので、摂り過ぎには注意が必要です。脱水予防=塩分補給というのは過剰な場合もありますので、ライフスタイルに合った水分補給を心がけましょう。
 これから、インフルエンザやノロウイルスの流行期にも入ってきます。下痢や嘔吐、発熱などの症状がある場合には、脱水症状に陥りやすくなります。一日に何度も下痢や嘔吐を繰り返した時に、失われた水分を補うために一度に多量に水分を飲んでしまいがちです。ですが、身体はそれを受け付けられず、せっかく摂った水分を嘔吐したり、腸を刺激することになって下痢をしたりと、下痢と嘔吐の繰り返しになってしまいます。そのような場合でも、口に含むという程度の少量の水分を複数回に分けて補給することで、身体も少しずつ受け付け、水分が摂れるようになります。
 今年は、コロナウイルス感染予防の為に、マスクを着用していることが多くなっているため、特にのどの渇きに気付きにくくなります。鼻やのどの粘膜が潤っていると、ウイルスを寄せ付けにくくなるともいわれています。こまめにうがいや水分補給をして、粘膜に潤いを与えましょう。マスクの着脱の際には、しっかり手洗いをしてから水分補給するようにしてくださいね。
 最後に、水分補給の基本は何といっても食事です。3食の食事がしっかり摂れていないと、これまでお話しした水分量では不足してしまいます。脱水症は私たちが思っている以上に身近に起こります。まずは食事を3食しっかり摂り、空気が乾燥してくるこれからの季節、こまめに水分補給をし、脱水にならないように注意してください。



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