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高齢者と運動習慣について

ラジオをお聞きの皆さんおはようございます。 初めまして、私は塙町にありますJA福島厚生連 塙厚生病院併設施設 介護老人保健施設「久慈の郷」で理学療法士をしています。大越幸哉と申します。 この時間をお借りし「高齢者と運動習慣について」お話ししようと思います。 医療技術の進歩に伴い平均寿命の延長がなされています。その中で健康寿命という言葉が生まれました。健康寿命は自分の心身で生命維持し、自立した生活が出来る生存期間のことです。その健康寿命を延ばすため近年は病気になってから治療をするのではなく、病気になることを予防する「予防医療」が注目されています。日々の運動習慣は予防医療の中でも推奨されており「健康のために運動しよう」といった活動の重要性が見直されています。 これからお話しする中で高齢者とは65歳から74歳までの前期高齢者、75歳以降の後期高齢者に分かれます。昨今の高齢化社会化に伴い高齢者の解釈は様々なものとなっておりますがこの場では65歳以上の前期、後期を含めた年齢の方を対象とした運動についてお話ししようと思います。 65歳以上で介護が必要となりやすい原因として認知症や脳卒中をはじめとする脳血管疾患、その他にも骨折や転倒、関節疾患が多いとされています。健康的な体を維持するために体力づくりをすることは認知症の予防や、筋力を維持し骨折や寝たきりを予防するなどの効果が期待されます。 65歳の方自身、またはご家族に65歳以上の方がいるご家庭の方に質問です。一般的な家事以外に運動する習慣はおありでしょうか?もちろん全身を動かす家事動作を運動習慣と考えていただいて構いません、しかし家事動作をしているからと運動不足になってしまう、というお話をよく聞きます。そこで家事動作に加え運動することを習慣として時間を設けることを改めてお勧めします。 運動内容につきましては全身を動かし、短時間から行う事が出来る「ウォーキング」が行いやすいです「散歩」と言い換えても差し支えありません。その際に腕を大きく振り背筋を伸ばし呼吸をしやすくすることがポイントです。運動時間も10~30分程度から始め体力に合わせ時間を増やしていくことが良いかと思います。重要なことは毎日続ける事です。40分歩こう、と意気込むことは悪い事ではありませんがそれが一日おき、一週間おきとだんだんと頻度が少なくなってしまう方が多いのが現実です。一日10分.外の空気を吸いお家周りの季節の移り変わりを感じる時間ととらえることが長続きするコツかと思います。夏の暑さ、冬の寒さ、雨音の賑わいなど家の中では感じられない感覚を養うことは閉じこもりや寝たきりの予防になるかと思います。 関節痛等がありウォーキングを行うことに不安がある方はご自宅のテーブルや壁に手をついて踵上げや足踏み運動が関節に負担がかかりにくいのでお勧めです。椅子に座って行っても構いません。回数にこだわらず10分程度体を動かし続けるようにしてみましょう。 悪天候などで表に出ることが難しい時にはその場で足踏みを行ってみましょう。その際に足踏みを10回行ったら1歩前へ、もう10回行ったら一歩下がって元の位置へ、もう10回で次は左へ一歩、もう10回で元の位置へ、とステップを入れてみると体を使いつつ頭の体操にもなりますのでお勧めです。 運動する上での注意点もお伝えいたします。高齢者の方に推奨される運動は低負荷のものがほとんどです。しかし負荷が少ないがゆえ、回数が多くなり結果やりすぎてしまい関節痛を引き起こしてしまう場合があります。負荷や回数の目安として正しい姿勢で行えているか、という点に注目していただきたいです。ウォーキングに例えると背筋が曲がり、手の振りが出なくなり、足の裏が地面から離れなくなってきたと感じるところが休憩し時と思ってください。それ以上を行ってしまうと腰痛や膝痛の原因となります。一般的な血圧の変動やめまいへの注意のほかにも正しい姿勢を保てているかに是非注意してみてください。 運動することにより食欲の増進や体重の適正化、睡眠の質の向上など運動機能以外の良い効果も期待されます。加えてよい効果として生活習慣病の予防、要介護状態の予防などがあげられます。 運動する習慣を始める理由として「健康の為」と考える方は多いかと思います、ぜひ1年後2年後の健康以上に10年後15年後の健康にも繋がりますので是非ご検討していただきますようお願い致します。 私からは以上です。お聞きいただきありがとうございました。 それではみなさん今日一日を元気で健やかにお過ごしください 今朝はJA福島厚生連介護老人保健施設「久慈の郷」からお話しさせていただきました。