薄味と健康
2022年11月放送皆さん、おはようございます。白河厚生総合病院で管理栄養士をしている、我妻直美と申します。今日は皆さんに「薄味と健康」について話をしたいと思います。 入院中の患者様からは、病院の食事は、味つけが薄いという意見をよく耳にしています。でも、ちょっと待って下さい!味つけが塩っぱい、薄いは個人差があり、年齢を重ねたり、薬、入れ歯、病気など様々な影響によって味の感じ方は変わってきます。味の感じ方が鈍くなると塩分の摂り過ぎにもつながります。そして塩分の摂り過ぎは血管に影響を与え、血液中の塩分濃度が必要以上に高くなり、それによって私たちは、喉が渇き水分を摂ります。水分を摂ると血液の量が増え血圧が上がります。血圧の高い状態が続くと血管はいつも張り詰めた状態となり次第に厚く、硬くなり血管の老化がすすみ・・・つまりは血管年齢が高くなるということです。これが高血圧による動脈硬化です。塩分の取り過ぎは高血圧、心筋梗塞、脳梗塞などの病気が出やすくなってくるわけです。たとえ、塩味の感じ方が衰えても、薄味に慣れることは出来ます。毎日の食生活の中で薄味を心がけましょう。 続きまして、厚生労働省が出している日本人の食事摂取基準では、1日の塩分摂取の目標量が男性は7.5g未満、女性は6.5g未満となっています。実際に日本人がどれだけ塩分を摂取しているかと言うと、「国民健康・栄養調査」によると日本人の1日の塩分摂取量は男性が11g、女性が9.3gとなっています。・・・さて、県別で見ると福島県は、1日当たり男性が11.9g、女性が9.9gと塩分の摂取量が高い傾向にあるので、どうにかして1日の塩分摂取量を少なくしていきたいものです。 次に薄味のコツを紹介します。 ① 麺類の汁は残す 麺類の汁には塩分が多く含まれています。ラーメン1杯をスープまで飲み干すと、7~8gほど塩分が含まれています。その他の麺類(うどん、ソバなど)もスープに多くの塩分が含まれます。汁を全部残せば、2~3gは食塩を減らせます。高血圧の方は1日の食塩摂取量は6g未満です。 ② かけ醤油よりつけ醤油にする 食べ物に直接醤油をかける、かけ醤油はついつい醤油をかけ過ぎてしまいますが、小皿から醤油をつける、つけ醤油なら口に入る醤油の量を調整できます。また、醤油などの調味料を何でもかける習慣のある方は、かける前に一度食べてみて下さい。意外とそのままでも食べられる物も多いですよ。 ③ 味噌汁は、具沢山にする 野菜を沢山使うことで、野菜から美味しい出汁が出て味噌の使う量を減らすことが出来ます。野菜の分、お椀によそう時に汁の量が減ります。今、使っている汁椀をひとまわり小さくするのもよいでしょう。標準的な汁物やスープ類は1杯に1~2gの塩分が含まれています。毎食、汁物を食べていると1日の塩分の大半を占めていることになります。 ④ 塩分の多い食品は食べる量を控える ちくわ・かまぼこなどの練り製品やハム・ウィンナーなどの加工品は、目には見えませんが、作る過程で食塩が使われています。漬け物・佃煮類も食べる量に注意しましょう。塩辛い魚は甘塩や生魚に変えましょう。生魚に変えれば調理する時に味の調節ができます。また、栄養成分表示には塩分の量も記載されているので、どれくらいの塩分が含まれているか確認してみるのもよいでしょう。 ⑤ 味付けはメリハリをつける、出汁を効かせる 全てが薄味だと物足りないので1品はしっかり味付けすると良いでしょう。また出汁を効かせることで、薄味でも美味しく食べられます。 ⑥ 塩分が少なめの調味料を適量、上手く利用する 酢、ケチャップ、少量のマヨネーズ、ドレッシング、塩分を減らした減塩醤油や減塩味噌を利用する。 ⑦ レモンやゆずなど柑橘類を使う 薄味でも柑橘類の酸味で美味しく食べられます。 ⑧ 適度に油を使う 揚げ物、炒め物など油の風味により薄味でも美味しく食べられます。 ⑨ 新鮮な食材で素材の味を楽しむ 素材の味を生かせば、濃い味付けは必要なく美味しく食べられます。 何項目か出来そうなことから始めてみましょう。 皆様が健康で過ごせるよう、少しでもお役に立てればと思います。 今日も一日頑張りましょう。 ご静聴ありがとうございました。